掲載日 : [2016-07-13] 照会数 : 43556
<都知事選>ヘイトSの場に!?…レイシスト出馬表明に同胞ら「必ず打撃を」
14日に告示(31日投・開票)される東京都知事選挙に、在特会(在日特権を許さない市民の会)の元会長・桜井誠氏が出馬を表明したことに対し、民団団員ら在日同胞は「公職選挙の場をヘイトスピーチの芝居小屋に貶めるもの」と猛烈に反発している。
桜井氏は6月29日に都庁で開いた記者会見で「在日外国人への生活保護支給停止」「反日ヘイトスピーチ禁止条例制定」などを公約に掲げ、「地方自治体はヘイトスピーチ対策法にのっとり、それに応じた施策を行う義務がある。どう対応するのか」の質問には、「対策法は単なる理念法。在日韓国人が出ていけば解決する問題だ」と逃げた。
同氏は「都民に(自説を)訴えることが目標」とし、「(自分の)武器は街宣だ。この武器を120パーセント活用して戦っていく」と語ってもいる。都知事選をヘイトスピーチの場にすることを自ら宣言したものだ。
これまでのヘイトスピーチは対策法の対象となり、警察当局が目を光らせるほか、阻止・中止に追い込むカウンター行動も可能だ。だが、選挙活動となれば手厚く守られる。公職選挙法の225条・230条は、多数が集合して交通や集会・演説を妨げるなどの行為は罰するとしている。
その半面、施行されたばかりの対策法はどうなのか。同法の理念から「政見」を騙ったヘイトスピーチは許されないとしても、線引きは容易ではなく、働き方が見えてこない現実に、団員らのうっ憤は募る一方だ。
文光秀さん(52・新宿区)は「東京五輪(2020年)の顔を選ぶ選挙でもある。なぜ差別主義者が出てくるのか。『恥の文化』をもつ日本人の奥ゆかしさがどんどん失われていく」と嘆き、「ならず者の能書きと『言論の自由』は峻別されるべきだ」と指弾する。
鄭理恵子さん(61・西東京市)は、「『在日特権』というデマを、あらゆる媒体を利用してばら撒きたいのだろう。現実の多文化共生を否定し、日本が日本人だけで成り立っている時代錯誤にとらわれた者が選挙? 日本の民主主義も末期症状だ」と論じる。
「ふざけるなの一言につきる」という明さん(67・新宿区)は、「ヘイトデモが下火になっているのを挽回しようと花火を上げたいのだろう。有権者ばかりか日本そのものを愚弄するものだ」と指摘。郭邦植さん(62・足立区)は、「レイシストが出馬できないような社会的雰囲気がほしい。定住外国人は地域をともに構成する住民であり、差別は許されないとの意識を学校・社会を通して育むべきだ」と強調した。
活動的な団員の多くは、前回の都知事選で極右でありながら、20・30代の支持を得て61万票(得票率12%)を集め、「超善戦」した田母神俊雄氏の前例を意識している。「桜井氏は落選運動の対象にもならない」とする一方、ヘイトスピーチが公然と展開されていいのか、これを都民に問うべく情報発信を続け、レイシストに打撃を与えずにはおかない決意を固めている。
(2016.7.13 民団新聞)