韓国には現在、11件がユネスコ世界遺産として登録されている。10件が文化遺産で唯一の自然遺産は2007年に登録された済州島。11年にはニューセブンワンダーズ基金の新世界7大自然景観にも選ばれた。
自然景観が魅力の済州は「三多三無」の島と言われている。「三多」とは、石多・風多・女多を意味する。「三無」は、泥棒がなく、乞食がなく、大門が無いことから由来している。
天然記念物も多く登録され、南国ムードが漂い大自然に恵まれた世界遺産の島は海外旅行が自由化されるまで、韓国ではハネムーンのメッカだった。
今年は韓日国交正常化50周年という歴史的な年。だが、皮肉なことに日本とこの世界遺産の島への航空便が消えつつある。
韓国を代表する大韓航空では関西、成田、中部の3空港から済州直行便を飛ばせていた。しかし、週3便あった中部便は昨年12月から運休、毎日発着していた成田便は昨年11月から減便し、今年3月29日から運休する予定だ。済州が故郷でない私にとっても、これは実にさみしい。
唯一、残ったのが関西便。これはさすがだ。済州を故郷とする在日同胞は全体の約15%。大阪には12万人の同胞が住んでいるが、その半数近くは済州が故郷だからだ。
急速な円安進行、韓日関係悪化による訪問客減少などが運休・減便の理由だろう。昨1年間、済州を訪れた日本人観光客は約9万人だが、韓流ブーム真っ最中の中国人客は約262万人と30倍近い。今や、「華多」が加わって「四多」となった。
でもね、大韓航空さん。昔も今も、最も済州を愛しているのは在日同胞なんですよ。(Z)
(2015.1.28 民団新聞)