民団主要運動推進方案
民団は12日、韓国中央会館で13年度前半期全国事務局長会議を開き、今年度の主要運動について具体的な推進要領を示達した。これに対して各地事務局長は、民団再生、次世代育成、韓日友好促進などの主要運動について推進方案ともいうべき取り組みの事例を発表した。また、昨年7月から施行された新しい在留管理制度についても改善すべき事項について意見を交換した。
団員との絆強化
各地の事務局長が推進事例を発表したが、組織活性化へ、支部が創意工夫を凝らして独自に取り組む団員サービス事業に対し、本部が後ろ盾となって財政支援を行っているのが大阪だ。
予算総額1500万円のうち、1000万円は各支部の規模に応じて支援している。実質的には割当金の支部への還元といえそうだ。このほか、500万円は事業の有効性を考慮して優先順位をつけて配分するというもの。
事業内容を見ると、最も多かったのが「誕生日会」で12支部。東淀川支部によれば、「民団に加入して間もない団員が参加してくれた」と手応えを感じていた。「料理教室」も5支部で実施し、好評だったという。鄭炳采事務局長は、「支部が団員の参加を増やすうえである程度効果があった」と振り返った。13年度も継続する。申請締切は7月末日。
神奈川は、伝統的な冠婚葬祭のサポートに法律、結婚、行政、税務の専門家と提携して各種相談事業を組み合わせた「むぐんふぁ事業」で団員と日常的に絆を強めている。今後は団員から注文を受け付けた韓国食品を、支部が宅配するサービスに取り組む。呉吉明事務局長は、「民団に出て来られない高齢の団員との接点を強化できる」と見ている。
高知は昨年から民団の集まりに団員家族そろって参加できるよう工夫して、一定の効果を上げつつある。婦人会の協力を得て夏は光復節とオリニ夏季学校、冬は送年会や新年会とオリニ事業を組み合わせた。団費収入や賛助金も増えつつあるという。これからは戸別訪問にも力を入れていく。
青少年の育成
愛知は体育会中北本部と協力。小学生が気軽に集まれるフットサル事業を次世代育成プロジェクトの柱として位置づけ、成果を上げている。
第1回ちびっこフットサル大会は06年3月に開催した。支部対抗戦のため、勝っても負けても来年を目指して練習に取り組むようになったのは、主催者にとってうれしい誤算だった。フットサル熱の高まるなか、08年4月に選手育成チーム「FCヒョンジェ」が結成された。現在、愛知県フットサルリーグに加盟して奮戦中だ。また、フットサルスクールも毎月2回開催している。
民団はこのフットサル事業を青少年育成事業として明確に位置づけるため、11年3月から「ちびっこフットサル大会」の名称を「民団愛知団長杯ジュニアフットサル大会」と変更した。今年中には名古屋韓国学校の校庭にフットサル専用のコートを造成することにしている。姜裕正事務局長は「小学生から中学生、大学生へとつなげていきたい」と意気込む。
一方、07年の青年会全国キャラバンをきっかけとして12年7月に青年会再建を成功させた長崎は、「青年会中央と青年会福岡との連携が大きな助けになった。他の県本部との交流は大事」と強調した。
姜成春事務局長は「再建大会から9カ月。民団が主導して会員増強をサポートしていきたい」と述べるなど、全面的に支援していく構えだ。
韓日友好促進
長野が04年3月、韓日友好親善を目的に設立したNPO法人民団国際協力センターは、韓国語講座、韓国家庭料理講座、「コリア市民祭」といった韓日親善事業を通じて会員を増やしている。設立当初こそ、民団からの支援でやりくりしてきたが、韓流の後押しもあり、3年後には軌道に乗せた。現在の会員は200〜300人で推移している。
年間1万2000円を払うと会員として認められ、希望する1講座を受講できる。「年間を通じて行事を継続し、休まない」(金美恵子事務局長の話)という事務局の努力もリピーター会員の増加につながっているようだ。この間、特別事業としてミュージカル「百婆」や韓服フアッションショー(06年)、「脱北者たちの証言を聞く会」(06、11年)や映画「クロッシング」上映会(10年)、ポジャギ展&朴貞子韓国舞踊公演(10年)などを企画してきた。毎年春には韓国体験旅行を企画して会員間の絆を強めている。
今後は会員管理と事業運営を各支部単位に分散させていく方向だ。実現すれば支部の活性化に結びつくことだろう。
同じく宮城も「民団宮城文化センター」を立ち上げ、韓国語講座20クラスを運営している。登録会員は現在、333人を数える。会員には韓国語能力試験の受験料を1回無料としているほか、民団の主催する花見や10月マダンなどの韓日親善事業にも優先して招待している。
きっかけは会館の有効活用だった。04年にセンターを立ち上げたところ人の出入りが活発化、民団との人的交流も盛んになっているという。
(2013.4.24 民団新聞)