韓米同盟60年、戦略も進化
アジア再均衡の軸に
尊敬する上下院議員、そして来賓の皆さん。
自由と民主主義を象徴する米国議会議事堂で、韓国と米国の友情と未来について演説できる機会をいただき、とても光栄だ。
韓国の安保を家族3代守る
ワシントンに到着後、韓国戦争記念公園を訪ねたが、いつもながら深い感銘を受けた。自由と民主主義という人類普遍の価値を守るため血と汗と涙を捧げた参戦勇士、ここに同席した参戦議員、3代にわたり韓国の安保を守り続けた家族らに、大韓民国の国民に代わって深く感謝する。
1953年韓国戦争の銃声が止んだ当時、1人当り国民所得が67㌦という世界最貧国だった韓国は、今や世界5位の自動車生産国であり、貿易規模世界8位の国家に成長した。
まず韓半島の核兵器撤廃を
世界の人々はこのような大韓民国の歴史を「漢江の奇跡」と呼ぶ。しかし、国民はこれを奇跡とは考えない。このような成就の歴史をつくるため、韓国人はドイツの鉱山で、灼熱の中東砂漠で多くの汗を流しながら渾身の力を振り絞ってきたからだ。
これまで助力してくれた良き友人がいた。特に米国は最も近い友人で、その土台になってきた韓米同盟が今年で60周年を迎えた。12年にソウルで第2回核安保首脳会議を開催し、「核兵器なき世界」の実現を確認した。オバマ大統領の「核兵器なき世界」のビジョンは、韓半島から始まるべきだ。世界唯一の分断国家であり、核兵器の直接的な脅威の中に置かれている韓半島こそ、核兵器なき世界を実現するモデル地域になりうる。
我々のパートナーシップは開発協力分野にまで拡大しつつある。奉仕団規模で世界1・2位の米国と韓国が肩を並べながら開発途上国の発展を支えるために努力する。
昨年3月に発効した韓米FTA(自由貿易協定)は、韓米同盟を21世紀の包括的戦略同盟に発展させる契機となった。さらに東アジアと北米をつなぐ懸け橋として、アジア・太平洋がひとつの市場として発展しうる機会を提供し、米国のアジア再均衡政策の重要な軸となっている。
オバマ大統領との会談で、韓米同盟60周年記念共同宣言を採択した。60年間の偉大な成果を基盤に、韓半島の平和と東北アジアの協力、さらには地球村の繁栄のためにともに努力することを宣言した。
韓米両国が描く3つのビジョンがある。
第一に、韓半島の平和と統一基盤の構築。現在、北韓は長距離ミサイル発射や核実験など、継続的な挑発行為で世界平和を揺るがしているが、堅固な韓米同盟を土台に、確固たる韓国経済と韓国政府の危機管理力量が持続する限り、北韓の挑発は絶対に成功しないだろう。南北間の漸進的交流・協力を通じて信頼を積み重ね、平和統一の基盤を構築していく。
現在、北韓は核保有と経済発展の同時達成という実現不可能な目標を掲げているが、国家の安全を保障するのは核兵器ではなく、国民生活の増進と国民の幸福にあることを悟るべきだ。
60年前、南北間の軍事衝突を防ぐために設置された「非武装地帯(DMZ)」は現在、世界で最も重武装された地域になった。私は韓半島信頼プロセスを維持しながら、DMZ内に世界平和公園を造りたい。
歴史見ずして「明日はない」
第二に、東北アジア地域に平和協力体制を構築すること。域内国家の経済的力量と相互依存は日ごと増しつつあるにもかかわらず、過去の歴史から始まった葛藤はより一層深刻化している。
「歴史に目を閉じる者は未来を見ることができない」という。歴史に対して正しい認識を持ちえないのは今日の問題であるが、それより大きな問題は明日がないということだ。未来アジアの新たな秩序は、いわゆる「アジア・パラドックス」現象を我々がいかに管理するかにかかっている。その克服に向けて東北アジア平和協力構想を推進したい。
第三に、地球村の隣人たちが平和と繁栄を享受できるよう寄与すること。韓米同盟の究極的な目標は全人類の幸福に寄与するところにある。
韓米両国と地球村の自由と平和、未来と希望に向けた友情の合唱は、この60年間絶えず鳴り響いた。今後も止むことはないだろう。
(2013.5.22 民団新聞)