こんな時こそ草の根交流、次世代に繋ぐ組織作り |
2・8独立宣言と3・1独立運動100周年、「北送」60年というキーワードの2019年。2年目となる呂健二執行部は①同胞の生活と権益を守る②韓日友好親善に尽くす③次世代を育成する④組織基盤を強化する➄平和統一に寄与の5つの柱を重点活動に掲げた。 次世代育成では恒例となった母国サマースクールに中・高校生150人が参加し民団と在日の歴史などを学んだほか、グループディスカッションなどを通じて在日の仲間としての友情を深めた。一方で青年会中央本部も鄭昇栄が新会長に就任。ルーツを知る旅「故郷訪問団」を秋に実施、参加者は自身のルーツである縁地を訪れたほか、交流パーティーなどで連帯を広げた。 韓日友好親善に関しては「こんな時こそ民間交流を」と、民団各地方が日韓親善協会とスクラムを組んで「韓日交流マダン」など、草の根交流活動を展開した。11回目を迎えた韓日祝祭ハンマダン(日韓交流おまつり)も過去2番目に多い参加者を記録するなど、民間交流の根強さを示した。 組織基盤強化では「ネットワークを作ろう!戸別訪問運動」を継続し、自然災害が相次いだ今年、団員の安否をいち早く確認し、救済活動ができるためにも緊急連絡先把握の必要性を再確認した。時代に対応できる組織づくりの提言をまとめる組織改革委員会では「第1次答申」をまとめた。 生活相談センターが埼玉と福島にも設置され、中央を合わせて全国18カ所に「在日同胞の拠り所」が揃った。あわせて「北送」60年に関して民団では中央本部と関東地方協議会が共催して11月に歴史的検証・特別シンポジウムを開催し、朝総連に対し謝罪と北韓当局に「北送」同胞の人権回復と出国の自由を要求せよとの決議文を発表した。 |
◆100周年に新たな決意 |
「2・8」100周年で「未来志向の韓日関係」誓う 2・8独立宣言第100周年記念式が8日、在日本韓国YMCAで開かれた。民団中央本部の呂健二団長は「在日同胞社会は2・8と3・1を民族運動及び青年学生運動の出発点としてきた。韓国の繁栄と自由民主主義に立脚した韓半島の平和と安定に尽力することが今日の課題だ」と認識を新たにした。同日、青年会と学生会が記念事業「100周年を迎えた今」を共催した。 |
「3・1独立運動」100周年...全国で記念式典 「3・1独立運動」から100周年を迎えた3月1日、全国各地の民団で記念式典が開かれた。参加者は①先烈たちが希求した民族自尊の精神を世代を超えて継承する②北韓の核廃棄と自由民主主義に立脚した平和統一へ寄与③在日同胞の権益を守るために尽力④韓日友好増進へ積極寄与するーとの4項目を決議した。 |
◆ヘイトスピーチ根絶へ前進 |
「選挙運動」でのヘイトに対応へ 選挙運動や政治活動に名を借りた不当な差別的言動(ヘイトスピーチ)に対応する事務連絡が3月12日付けで法務省人権擁護局から各地方の法務局人権擁護部に送られた。あわせてインターネット上でのヘイトに対して、集団等に対する差別的言動についても削除要請などの救済措置をとるよう指示する依命通知を送っている。民団ではこの間、対応を各政党や議員らに求めており、その要望活動が反映された。 |
川崎市が初の刑事罰盛り込んだ条例成立 ヘイトスピーチを繰り返すなどした悪質なケースには最高50万円の刑事罰を定めた「川崎市差別のない人権尊重のまちづくり条例」が12月12日、市議会で可決・成立した。刑事規制を適用する全国で初めての条例となる。また、神戸市議会は6月5日、「外国人に対する差別の解消と多文化共生社会の実現に関する条例案」を全会一致で可決した。 |
◆組織活性化へ戸別訪問と実技研修 |
戸別訪問で団員との接点を拡大 今年度活動方針の柱でもある「ネットワークを作ろう!戸別訪問運動」を各地方で展開した。特に高知、京都、愛知、宮城ではそれぞれ「ONE TEAM」になって集中活動を展開し、団員と支部の接点拡大を図った。 |
実践型プログラムで効率的な活動学ぶ 「2019年地域同胞指導者ワークショップ」が7月7日までの2日間、東京都内で開かれ、全国の本部や支部幹部ら約150人が参加した。特に今年は後継者・次世代活動者と実務者の養成と連帯を図るため、支部総会のシミュレーションや戸別訪問のロールプレイングなど、実技を加えた参加型研修とした。10月27日には近畿でも開かれた。 |
愛知、新会館落成でさらなる前進誓う 創団70周年を迎え、新たな歴史を築く気運の中、民団愛知に新たな民族の殿堂たる新会館が完成した。喜びの竣工式は4月6日に行われた。朴茂安団長は「愛知同胞のシンボル。地域住民とのコミュニティーの場として韓国文化の発信、韓日親善の懸け橋としての役割を果たす」と決意。 |
◆母国で広げる次世代の輪 |
母国を体験し連帯したサマースクール 在日同胞の中・高校生を対象に夏休みを活用して母国と触れあい、全国の同世代が連帯を広げる「2019在日同胞次世代サマースクール」(民団主催、在外同胞財団後援)の中学生コース(7月25日~28日)と高校生コース(7月31日~8月3日)が今年も開催された。北は北海道から南は鹿児島まで全国29地方本部から参加した151人(中学94人、高校57人)は4日間、ともに学び、語り合いながら新たな絆を育んだ。 |
故郷訪問でルーツを知る…青年会 在日韓国青年会(鄭昇栄中央会長)のルーツを知る旅「故郷訪問団」が9月20~23日の4日間、ソウル市と各地方で実施され、参加者は自身のルーツである縁地を訪れたほか、交流パーティーなどで連帯を広げた。鄭会長は「同世代との交流を楽しみ、各自がルーツを知る契機になったと思う。また、韓日関係が悪化している時だからこそ、母国を訪れ、現地青年と交流したことは貴重な体験になったはず」と手ごたえを話した。 |
◆韓日関係改善を切望 |
韓日関係改善へ意欲…南官杓新大使 南官杓新駐日韓国大使が5月9日に着任した。5月29日、民団中央本部主催の歓迎会で南大使は「韓日関係が困難な時期に赴任し、身が引き締まる思いだ。両国間のこのような状況は決して望ましくない。何よりも最も困難に直面しているのが在日同胞の皆さん。1日も早く打開できるよう、全力を尽くす」と約束した。 |
「韓日関係は死活問題」文大統領に訴え 主要20カ国・地域首脳会議(G20サミット)に出席するため大阪を訪問した文在寅大統領は6月27日、大阪市内のホテルに民団幹部をはじめとする在日同胞約400人を招いて晩餐兼懇談会を開催した。呂健二中央本部団長は乾杯のあいさつで「韓日関係は我々にとっては死活問題。近い国なので良い時期も悪い時期もあるが、明日のためには共に未来へ進むほかない」と関係改善に向けた努力の必要性を訴えた。参加した在日同胞からも韓日関係の改善を切望する声が相次いだ。 |
「首脳会談を」日韓・韓日議連が合同総会で声明 韓日・日韓議員連盟の第42回合同総会が11月1日、衆議院第一議員会館で開催され、悪化が続く韓日関係の改善に向けて、両国の議員が努力をしていくことで意見を一致にした。共同声明では98年の金大中ー小渕「21世紀に向けた韓日パートナーシップ共同宣言」の精神に立ち戻り、両国関係を早期に正常化させなければならないとの認識で一致したことを強調し、両国の首脳会談及び高位級会談を早期開催するよう促すことを明記した。 |
◆こんな時こそ草の根イベント |
韓日のふれあい「マダン」各地で 民団各地の秋の恒例行事「10月のマダン」が盛況を見せた。団員ばかりか日本人も多数迎え、K‐POPダンスとコンサートをはじめ、韓食屋台、農楽、運動会、のど自慢大会、ボウリング大会など、多彩な企画で韓日親善交流を楽しんだ。 |
東海3県民団がスクラム...韓日友好祝祭 「愛知、三重、岐阜 東海3県からつなぐ日韓友好」をキャッチフレーズに4月20、21の両日、「韓国フェスティバル2019」が名古屋市栄のエディオン久屋広場で行われた。昨年に続き2回目。駐名古屋韓国総領事館と民団愛知、岐阜、三重の3地方本部、韓国観光公社が共催した。 |
対馬で「朝鮮通信使行列」無事挙行 長崎県対馬市の「厳原港まつり」で江戸時代に朝鮮王朝から来日した外交使節団を再現する韓日交流イベント「朝鮮通信使行列」が4日、開催された。日本と韓国の関係が冷え込む中、韓国から訪れた60人を含む計約300人が当時の装いで街を練り歩き、関係改善を願った。民団中央の呂健二団長も現地を訪れ、民団対馬支部の関係者とパレードを見守った。 |
浅草と対馬で朝鮮通信使登録記念行事 朝鮮通信使の世界記憶遺産登録2年を期して民間レベルの交流を活発化させる動きが東京・浅草と長崎・対馬であった。浅草商店連合会、東京日韓親善協会、民団東京本部など韓日6団体で構成した「朝鮮通信使・世界記憶遺産登録記念事業実行委員会」は11月8日浅草で「韓国伝統芸能の夕べ」を開催した=写真。。また、「世界の記憶」登録を推進してきた韓日両国の主要メンバー4人は10月30日、対馬市で善隣友好を呼び掛ける「対馬宣言」を発表した。 |
韓日祝祭ハンマダン7万人が楽しむ 韓国人と日本人が一つになって作り上げていく最大規模の韓日交流イベント「韓日祝祭ハンマダン(日韓交流おまつり)」が9月28、29の両日、東京・日比谷公園で開催された。韓日関係が悪化している中、「今こそ民間交流を」と駆け付けた大勢の家族連れや若者らが韓国料理を満喫し、韓国の文化体験を楽しんだ。両国のコンサートも例年通り行われ、会場をわかした。 |
韓国籍の白承豪弁護士 日弁連副会長に就任 韓国籍の白承豪弁護士(57、神戸セジョン外国法共同事業法律事務所=神戸市中央区)が日本弁護士連合会(菊地裕太郎会長)の副会長に就任した。1993年に弁護士登録。95年の阪神淡路大震災時、民団兵庫本部の無料法律相談で被災者の救済にあたった。青年会沖縄本部のOBでもある。 |
◆在日アスリート大奮闘 |
東京五輪へ有望選手を激励…体育会65周年 在日本大韓体育会は3月31日に都内のホテルで創立65周年記念式典を兼ねて、2020東京五輪に出場が有望視されている、在日同胞選手の激励会を開いた。会場には韓日の五輪メダリストなど、栄光のアスリートも出席し体育会65周年と在日選手にエールを送った。 |
在日3世柔道家が東京五輪へステップ 東京五輪をめざす在日同胞3世柔道家たちが各国際大会で活躍を見せた。金琳煥(27・韓国馬事会、66㎏級)が2月のグランドスラム・デュッセルドルフで準優勝すると8月の世界選手権でも準優勝。10月のジュニア世界選手権女子57㎏級では金知秀(18・慶北道庁)と許海実(17・帝京高校2年)による在日3世どうしの3位決定戦となった。金知秀は2月のグランドスラム・パリでも銅メダルを獲得した。また、女子63㌔級の趙睦煕(25・韓国馬事会)はグランプリ・モントリオールで優勝した。 |
京都国際高校、夢の甲子園まであと一歩 京都国際高校(李隆男理事長、朴慶洙校長)初となる甲子園出場の夢はかなわなかった。それでも7月28日、創部21年目にして初めて京都大会決勝まで駒を進め、甲子園に出場経験のある立命館宇治を相手に8回まで2点のリードを保ったことで着実に強豪校として認知されるようになり、誇らしい準優勝だった。甲子園出場はもう夢ではない。 |
韓国国体100回大会、在日出場66年 第100回を迎えた韓国の全国体育大会(国体)が10月10日までの7日間、ソウル市内で開かれ、選手・役員約132人で臨んだ在日同胞選手団(呉公太選手団長)は金メダル5個をはじめ銀6、銅12の合わせて23個のメダルを獲得し、18カ国の海外同胞で競う「海外同胞の部」の総合で準優勝となった。呉団長(写真左)は「国体は次世代アスリートたちがスポーツを通じて母国と同胞に触れあう格好の場だと思う。そんな姿が見たかった」 |
オモニパワーで未来へ躍進…婦人会が70周年 婦人会中央本部(朴善岳会長)は10月10日、都内のホテルで創立70周年記念式を開催。全国から駆け付けた関係者約800人とともに同本部の創立から70年の歩みを振り返り、未来の躍進を誓った。朴会長は「解放後まもなく1世の親たちが今日の婦人会の基礎をつくってくれたことに感謝したい。これからも祖国・韓国を愛しつつ日本社会の地域住民として共存・共栄を図り、80、90、100周年を迎えていきたい」とあいさつした。 |
「北送」は北韓の国家的詐欺、民団が特別シンポ 「地上の楽園」との北韓当局と朝総連の虚偽宣伝と日本政府と政党の積極的協力と日本マスコミあげての北韓賛美キャンペーンのもとで推進された「北送」から60年。民団では中央本部と関東地方協議会が共催して11月13日、東京都内の在日本韓国YMCAで「特別シンポジウム」を開催し、朝総連に対し謝罪と北韓当局に「北送」同胞の人権回復と出国の自由を要求せよとの決議文を発表した。 |
多様な悩みに対応し地域同胞の拠り所に 民団埼玉本部(田虓玔団長)は11月19日、「みんだん生活相談センターさいたま」を開設した。全国で16番目になり、首都圏としては神奈川についで2番目。また、民団福島本部(金仁河団長)も11月27日、「みんだん生活相談センターふくしま」を開設した。地方センターとしては全国で17番目になり、東北では宮城についで2番目となる。これで中央センターと合わせて全国18カ所に「在日同胞の拠り所」が揃った。 |
(2019.12.25 民団新聞) |