掲載日 : [2020-02-13] 照会数 : 11379
第74回中央委員会2019総括報告案(要旨)
在日の生活と権益第一に
第74回中央委員会2019総括報告案(要旨)
◆はじめに
2019年を起点に歴史を振り返ってみると、100年前の1919年は在日留学生による「2・8独立宣言」が導火線となり、「3・1独立運動」が朝鮮全土に広がった年である。80年前の1939年は朝鮮人の労務動員政策が実行に移され、年末には「朝鮮人の氏名に関する件」(創氏改名)が公布された年である。
60年前の1959年は「在日朝鮮人の北朝鮮帰還に関する日朝協定」に基づき、在日朝鮮人9万3339人(日本人家族6679人を含む)が『地上の楽園』に『北送』された年である。20年前の1999年は在日外国人の指紋押捺義務が廃止となり、在日韓国人をはじめとする永住外国人住民の地方選挙権付与法案が初めて日本の国会で審議された年である。
この100年間を振り返ると、未だ《解決》されていない問題が少なくない。2019年は歴史問題が再燃し、経済・安保にまで飛び火して、韓日関係の悪化に歯止めがかからなかった年である。
世界情勢を見ると、自国中心主義が広がり、過剰なナショナリズムと排外的傾向が台頭し、相互協調が力を弱め、対立と分断が国内外で深刻化しつつある。私たちが住んでいる北東アジアもその例外ではない。
そのような中で、本団は6大綱領と第7次宣言を根幹に、在日同胞の生活と権益を守り、韓日友好親善に努め、次世代育成と組織基盤の強化を大きな柱に活動してきた。
成果を上げられなかった諸事業については、今後も積極的に推進していくことを期し、この1年間、本団組織の活性化に尽力してこられた全国の役員、団員、実務者の皆様に心より感謝申し上げる次第である。
韓日関係修復へ草の根交流事業
◆韓日友好親善
韓日関係の現状
2019年は、国交正常化以来、最悪の関係に陥り、皆が心を痛めた年である。強制徴用被害者個人の慰謝料請求権は消滅していないという大法院判決(18年10月30日)に対する韓国政府の対応と、慰安婦問題の韓日合意(15年12月28日)によって創設された「和解・治癒財団」の一方的な解散発表等(18年11月21日)により、日本政府は態度を硬化させていった。信頼関係が損なわれたとして、韓国への半導体材料の輸出制限(19年7月1日)をし、輸出優遇対象国から韓国を除外する(19年8月2日)強硬措置を取った。
これに対し、韓国政府は、日本との軍事情報包括保護協定(GSOMIA)の延長を破棄した(19年8月22日)。両国の関係が一層険悪な情勢になったが、その後、米国の介入もあり、GSOMIAを条件付で延長した(19年11月22日)。現在、韓日間で輸出管理に関する協議が進められている。この間、両国政府の葛藤が両国社会に影響し、一部メディアも煽って、嫌韓・反日感情が広がった。民間交流にも地域経済にも悪影響が及んだ。本団はこの間、相互のこれ以上の不利益は解消すべきだとの立場から、関係修復に向けた対話・協議、解決を粘り強く要望してきた。
改善に向け、1年3カ月ぶりに首脳会談
年末の12月24日、韓日首脳会談が中国成都で1年3カ月ぶりに開かれた。当面の諸課題については相手の立場の違いを尊重しつつ、関係改善に向けて対話で解決していくことで一致したが、一日も早い関係の正常化が願われる。
本団の基本姿勢
本団は創団以来、70余年間、両国が困難にある時も、韓日友好親善の架橋として尽力してきた。韓日関係は在日同胞の「死活問題」である。各地域で永年実施している韓日友好交流事業を継続して積極的に推進し、同胞の生活と権益を守り、経済活動が不利益をこうむることのないよう、両国政府、各政党、自治体、民間団体に韓日友好関係の重要性を訴え、本団組織の存在意義をアピールしてきた。
中央団長、外国特派員協会で記者会見
中央団長は東京都内の日本外国特派員協会で記者会見を開き、悪化が続く韓日関係に対する、在日同胞としての憂慮や見解を述べた(9月24日)。民団と在日同胞社会の形成や、70年以上にわたって韓日両国に貢献してきた過程を説明した。また、関係悪化によって在日同胞たちが胸を痛めていることを強調、テレビや週刊誌など一部のメディアが韓日関係悪化を悪用し、ヘイトスピーチを煽るような姿勢を問いただした。民団は両国の架け橋となり、地域における市民レベルでの友好親善交流を全力で取り組み、一日も早く改善するよう願っているとアピールした。
本国要路と訪日…文大統領、在日同胞と懇談会
主要20カ国・地域首脳会議(G20サミット)に出席するため大阪を訪問した文在寅大統領は「在日同胞懇談会」(6月27日、大阪)を開催した。文大統領が就任後、民団幹部ら在日同胞リーダーと懇談するのは初めて。参加の在日同胞からは悪化している韓日関係の改善を切望する声が相次いだ。中央団長は「韓日関係の悪化は、在日同胞の死活問題だ」と訴えた。
李洛淵国務総理との「同胞代表懇談会」(10月23日、韓国大使館)、文喜相国会議長との「同胞・支商社代表懇談会」(11月4日、東京)でも同様の関係修復を訴えた。
韓日・日韓議員連盟の第42回合同総会が衆議院第一議員会館で開催され、悪化が続く韓日関係の改善に向けて、両国の議員が努力をしていくことで意見の一致をみた(11月1日)。共同声明では98年の「21世紀に向けた韓日パートナーシップ共同宣言」の精神に立ち戻り、両国関係を早期に正常化させなければならないとの認識で一致した。両国の首脳会談及び高位級会談を早期開催するよう促すことを明記したことは、本団の要望とも合致するものである。
韓日関係を修復するため、民間次元で草の根の交流事業を促進しようと全国各地の民団では「民団は日韓友好に尽力する」を掲げ、多種多様な韓日交流祝祭を実施した。主な各地交流は以下の通り。「韓国フェスティバル2019・イン・名古屋」(13万人)、宮城「春の韓日交流会」、東海3県(愛知、三重、岐阜)「韓国フェスティバル2019」、徳島「第3回韓国音楽祭」、「山梨コリア祭」、「茨城日韓交流まつり」、佐賀「第14回ふれあい交流マダン」、神奈川「韓日市民交流マダン」、埼玉「韓日友情祝祭10月のマダン」、鳥取「韓日料理体験ツアー」、千葉「日韓友好のマダン」、「東大阪国際交流フェスタ」、「広島マダン」、岩手「韓日親善料理講習会」、「栃木民団フェア・韓日親善交流会」、「日韓交流おまつり2019・イン・東京」(第11回、7万人)、大阪「多文化共生フェスタ」。
92年以来、同胞の親睦と韓日友好交流の場として、全国の民団が実施している「10月マダン」は29地方で開催された。そのほかにも、釜山文化財団「2019朝鮮通信使祝祭」、朝鮮通信使友情ウォーク、日韓親善協会中央会青少年交流訪日団、朝鮮通信使ユネスコ世界記憶遺産登録2周年記念集会(10月30日、対馬市内「対馬宣言」発表)が開催された。朝鮮通信使の再現行列も広島、愛知、静岡、京都で継続された。民団は全国各地で韓日関係改善のため、先頭に立って努力を惜しまなかった。
ヘイトスピーチ根絶へ取り組む
◆同胞生活と権益
ヘイトスピーチ根絶…川崎市、全国初の刑事罰条例
外国にルーツがある市民らを標的にしたヘイトスピーチに刑事罰を科す、全国で初めての条例が川崎市で成立した(差別のない人権尊重のまちづくり条例」12月12日)。差別的な言動を繰り返すと、刑事裁判を経て最高50万円の罰金が科される。本団は同様の条例づくりに取り組む全国の自治体のモデルになるよう運動を展開していくとともに、インターネット上の書き込みや動画によるヘイト行為に対し、罰則が適用されるよう活動した。罰則はないが2019年にヘイトスピーチを禁止する条例やガイドラインが制定、施行された自治体は7自治体である。(東京都、東京都国立市、香川県観音寺市、神戸市、大阪府、京都府宇治市、亀岡市)。
ネット上のヘイトに罰金刑
韓国と日本の両国籍を持つ高校生の実名を公開して「嫌韓」中傷をした60代日本人男性に簡易裁判所が侮辱罪で罰金刑(9000円)を科した。インターネット上のヘイトスピーチが侮辱罪で処罰されたのは初めてである。(1月22日)
また沖縄在住の在日韓国人に対し、ネット上の匿名掲示板で3年近くにわたって民族差別をあおるヘイトスピーチの書き込みをした男性2人が侮辱罪以上に重い名誉棄損の罪で簡易裁判所から罰金10万円を科された(2月6日)。
川崎ではネット上で同様のへイトスピーチをした者に対し、神奈川県迷惑行為防止条例違反の罪で罰金30万円を科した(12月27日)。大阪市ではヘイトスピーチ抑止条例に基づき、全国で初めてヘイトを発信した者(2人)の氏名を公表した(12月27日)。今後もヘイトスピーチは犯罪であることを認知させていく必要がある。
選挙運動に名を借りたヘイトスピーチに対処
本団のこの間の運動を受け、公明党は官房長官に対し、選挙運動などに名を借りて特定の民族や人々を排斥するヘイトスピーチについて、「社会問題、重大な人権問題であり、根絶するために政府一体の取り組みが必要だ」として、各地の警察や自治体、選挙管理委員会に適切な対応を促すよう申し入れた。これを受け、警察庁は、選挙運動に名を借りたヘイトスピーチであれば刑事事件として取り上げるよう各都道府県警に通知した。(3・28)
大手出版社発行の「週刊誌」特集のヘイトスピーチに抗議・申入れ
該当週刊誌の9月13日号は「減韓、断韓を考える」「厄介な隣人にサヨウナラ」「韓国なんていらない」という過激な見出しを並べた特集を組んだ。本団は大手出版社が週刊誌を通じて差別を煽動しており、見過ごせないと判断し、抗議の申し入れを行った(9月5日)。
該当出版社の幹部らが本団を訪れ(9月11日)、反省し謝罪した上で、今後「日韓関係の悪化に因る在日韓国人の不安や関係改善に向けた意見などの記事掲載を検討する」(11月1日号で実施)、「何らかの形で社内で人権研修を行う」(2020年1月24日実施)ことを約束した。
この大手出版社の自制が他の出版社のヘイトスピーチ抑制に波及したことは運動の成果である。
虐殺とヘイト、歴史修正主義を検証する人権セミナー開く
中央本部人権擁護委員会は、韓国中央会館で在日韓国人法曹フォーラムと共催で、関東大震災の大虐殺とヘイトスピーチをテーマに人権セミナーを開催した。本団や日本の市民運動関係者ら200人余りが参集し、歴史修正主義を検証する意義ある場となった。(12月4日)
地方参政権獲得運動再構築
地方参政権運動再構築の一環として、冊子「永住外国人の地方参政権14のQ&A」を発刊、全国に配布した。研修会は福島、長野、山口、福岡で開催、市民団体との勉強会も複数回持った。また東京で開催された第42回韓日・日韓議員連盟合同総会で共同声明が発表され、韓国側は韓国内で永住外国人にすでに付与していることを踏まえ、日本で「迅速に成立するよう」要請した。今後、各地方で地方参政権の意義を勉強する場をさらに拡げていく必要がある。
外国籍地方公務員の国籍条項・採用任用全国実態調査
中央本部人権擁護員会では、地方公務員の国籍条項と採用任用の全国実態調査を実施した。調査結果については有識者に分析等を要請中である。
生活相談センター埼玉、福島で開設
11月19日、全国で16番目となる「みんだん生活相談センターさいたま」を開設、11月27日には、17番目となる「みんだん生活相談センターふくしま」を開設した。同胞も多様化し、相談事例も幅広くなってきたことから、多様な相談員を構成する必要性がある。生活者団体である民団は同胞たちの悩みを解決する拠り所として求められている。生活相談センターではこの間、大阪、兵庫、愛知を巡回し、相互の情報交換や円滑な運営等を協議してきた。12月2日には、2019年全体会議を開催し、今年度の活動を総括し、次年度に向けて地方センター実務者と相談員との意思統一を図った。2019年の中央及び地方17センターの相談件数は2585件だった。
戸別訪問重ね同胞との接点づくり
◆組織基盤強化
ネットワークをつくろう!同胞世帯訪問活動
昨年からの重点活動の一つである同胞世帯訪問活動は、新定住者、日本国籍同胞、総連からの離脱同胞を含めすべての居住同胞を対象とし、居住地ごとのきちんとした名簿作りと「戸別訪問調査票」の作成を呼びかけた。悪化する韓日関係の改善に向け、各地方では韓日交流行事や各種韓日セミナーなどの開催に追われ、十分な訪問活動を実施できなかった地方が少なくない。訪問活動を通じて同胞との接点づくりをするのが組織の基本である。訪問活動はコツコツと繰り返す必要があり、これで終わりということはない。同胞の「顔」が見え、「声」をきき、「対話」ができてこそ、組織の活性化につながるものである。
支部・地方・中央協働で集中戸別訪問
高知(6月)、京都・右京支部(7月)、南京都支部(10月)、長崎・対馬支部(10月)、愛知・一宮支部(11月)、宮城・各支部(11月)で、支部・地方・中央の協働で集中戸別訪問活動を展開した。団員の近況や世帯情報の把握、民団に対する意見や要望など、同胞と民団の接点を拡大することができ、組織の基本活動として多くの成果を上げた。支部・地方の婦人会も積極的に参与した。今回の集中活動ではここ数年、相次ぐ自然災害に備えた緊急連絡先として、携帯電話番号の把握も大きな目的だったが、ほぼ全ての世帯で快く応じてもらった。
普段、顔と顔を合わせる基本的活動が不足しているなか、支部・地方役員と団員間の新しいネットワークを築いていく上で意義ある戸別訪問となった。また団員の高齢化が進んでおり、定期的な訪問活動の必要を痛感した。また7月からは四国4県の組織運営を補強する統括局長を派遣し、成果を上げている。
地域同胞指導者ワークショップ
7月6日から2日間、東京都内で、全国の本部・支部幹部らが参加して開催した。後継者・次世代活動者と実務者の養成と連帯を図るとともに、3機関の役割の認知と組織運営に必要な実務能力の向上を目的に、支部総会のシミュレーションや戸別訪問のロールプレイング、3機関長との対話など、実技を加えた参加型研修とした。
少子高齢化、世代交代に加え、韓日関係、同胞の多様化など、課題が多い中で活発な意見交換がなされた。組織活動の基本でもある戸別訪問の実技では東京、宮城、愛知、大阪、京都の5チームによるロールプレイングが行われ好評を博した。
近畿地域においても10月27日からの2日間、奈良市内で103人(奈良、大阪、京都、滋賀、和歌山)が参加する中、有意義に開催された。
組織改革委員会第1次提言
本団の制度、機構、機能の見直しなど、これからの時代に対応できる組織に整備するため鋭意検討を重ね、地方本部3機関長の就任規定の緩和(国籍問題)、3機関制度の2機関制への移行を土台とした第1次提言をまとめた。
婦人会中央創立70周年
婦人会中央本部は10月10日、都内のホテルで全国から800人が参席する中、創立70周年記念式典を盛大に開催した。これまでの歩みを振り返るとともに、未来への躍進を誓い合った。本団は、創立以来70年にわたり婦人会が同胞社会と民団組織、母国の発展のために尽くしてきた功績を高く評価するものである。
また、41年目を迎えた全国地区別大研修会は「歴史を未来に受け継ぐ」をテーマに、6月からブロック別に開催し、例年以上の活気をみせた。
多様な次世代育成事業を展開
◆次世代育成
次世代サマースクール
中・高校生対象に7月下旬から8月上旬にかけ「2019在日同胞次世代サマースクール」を実施。北海道から鹿児島まで全国29地方本部から151人(中学94人、高校57人)が参加した。オリニジャンボリーに参加した学生も少なくなく、ソウルで4日間、韓国の発展史や民団と在日の歴史をともに学び、韓国の伝統芸能などを楽しみ「韓日交流へ自身ができること」をテーマにグループディスカッションなどを通じ新たな絆を育んだ。
大学生ジャンボリー
学生会では夏の交流事業「在日大学生ジャンボリー」を8月下旬の4日間、岐阜県飛騨高山で実施し、全国の同胞学生50人が学習会やレクリェーションを通じて連帯を深めた。
全国で多様なオリニ事業
東京韓国学校では4月13日、オリニ土曜学校を開講、4歳の幼児から成人まで692人が受講した。同校の土曜学校は韓国語・韓国文化のほか、K‐POPダンス、テコンド、サムルノリ、古典舞踊、陶芸を専攻する班も設け、バラエティ豊かな魅力ある講座を設けている。全国各地でも地域色に富んだオリニ土曜学校、オリニ・サマーキャンプ、オリニ・クリスマス会などを実施し、オリニ教育に熱心に取り組んでいる。
青年会「故郷訪問団」
青年会はみずからのルーツを知る旅「故郷訪問団」を9月20日から4日間、ソウル及び各地方で実施した。全国からの参加者は自身のルーツである縁地を訪れたほか、韓日関係が悪化している中、現地青年たちと交流し自らの民族性を喚起する貴重な体験をもった。青年層が減少する中、本団は青年会育成に一層注力していく必要がある。
第100回韓国国体ソウル大会
創立65周年を迎えた体育会は10月に開催された第100回韓国国体・ソウル大会に選手・役員約130人の在日同胞選手団を送った。メダル獲得は、金5、銀6、銅12個とし、18カ国の同胞で競われた海外同胞部門で8連覇を逸したものの、総合2位となった。長年にわたって韓国国体に在日選手を派遣している体育会の努力を評価する。
韓半島の平和、北韓民主化を希求
◆韓半島情勢
首脳会談
二度と戦争の心配がない平和な韓半島が私たちの願いである。2月27日から2日間、ベトナム・ハノイで第2次美北(米朝)首脳会談が開催されたが、韓半島の非核化と制裁緩和について合意に至らず決裂した。
3月22日には、北韓は南北連絡事務所を一方的に撤収した。4月11日、ワシントンで韓美(米)頂上会談が開催され、完全な非核化まで制裁を維持することとし、南北経済協力は「今は適切でない」とされた。
6月30日板門店で、美北(米朝)頂上会談が持たれ、現職の美国大統領として初めて南北軍事境界線を越えて北韓側に入った。両国は、実務者協議を早期に再開することで合意したが、進展を見せていない。
8月15日の文在寅大統領の光復節の演説に対し、北韓は口汚く非難し、南北関係は現在、対話雰囲気から遠いと言わざるを得ない。
北韓の軍事挑発
北韓は5月4日、弾道ミサイルを発射した。これは、南北間軍事分野合意の趣旨に反するものであり、韓国は軍事的緊張を高める行為の中断と対話再開を呼び掛けた。だが、軍事挑発は止まず、11月28日、13回目となる弾道ミサイルの発射を強行した。これに対し本団は韓半島と東北アジアの平和と安全を脅かす暴挙に抗議する談話文を発表した。また北韓は12月8日、東倉里発射場で「重大実験」をしたと公表し、国際社会に緊張水位を高めている。北韓が大陸間彈道ミサイルに使用する液体燃料エンジンの実験をした可能性が指摘されている。
北韓は国際社会に約束した「非核化」を進める意図がないように見受けられる。同日、米国大統領は「敵対的な行動を再開すれば、金正恩はすべてを失う恐れがある」と警告したが、北韓は強硬姿勢を崩さず、年末には4日間にわたり、党中央委員会全員会議を開き、「世界は遠からず新たな戦略兵器を目撃する」と威嚇し、核・ミサイル等の持続的な開発を宣明にした。
本団は、北韓が一日も早く非核化と大量破壊兵器の全廃を実現し、韓半島に平和と安全が定着して、北韓が開放され民主化されることを願ってやまない。
◆「2・8」と「3・1」100周年
2・8独立宣言100周年シンポジウム
在日韓人歴史資料館と中央本部の共催で、2・8独立宣言100周年記念シンポジウム「東アジアにおける2・8独立運動の意義」を韓国中央会館で開催した。当時の日本在住の留学生が独立を宣言した「2・8独立宣言」は、「3・1独立運動」など、その後の民族運動の原動力となった。
全国民団で3・1節100周年記念式典
本団は大韓民国政府が樹立(1948年)する前年の1947年から、3・1節記念式典を毎年欠かさず今日まで継続してきた。100周年を迎え、先烈たちが命をかけて希求した民族自尊の精神を胸に刻み、祖国の安寧と平和統一を願い、全国各地の民団で多様な記念式典が挙行された。
◆「北送」60年シンポジウム
中央本部と関東地方協議会が共催して11月13日、東京・千代田区の在日本韓国YMCAアジア青少年センターで「北送」60年シンポジウムを開催した。世界に類例のない国家的詐欺犯罪である「北送」事業を歴史的に検証し、北韓と朝総連の責任を糾明するとともに、「北送」同胞と日本人家族の人権回復と自由往来の実現を求めた。同時に脱北同胞への人道的支援を訴えた。
中央団長は、「北送は『事業』でなく『事件』であり、北韓と朝総連による犯罪だ。『地上の楽園』と人を騙して連れて行き、反省も謝罪もしない。60年経った今も、北送同胞と日本に残ったその家族の悲惨な状態が続いている」、「『北送』同胞の人権回復と往来の自由が認められるよう、日本政府と日本社会も拉致問題と同様に声を上げてほしい」と訴えた。
◆草川昭三氏に中央団長感謝状
議員時代に各種国籍条項の撤廃や地方参政権付与、サハリン在住同胞の帰還など、長年にわたって在日同胞の権益擁護に尽力してきた公明党顧問の草川昭三氏(90歳)に対して4月11日の全国地方団長・中央傘下団体長会議の席で中央団長から感謝状が手渡された。
草川氏は議員時代、電波法の国籍条項をはじめ、国体への参加資格など、在日同胞への国籍差別条項の廃止実現に尽力してきた。
感謝状を手に草川氏は「高度成長時代の60~70年代、国籍差別が山ほどあった。差別がなくなってこそ、韓国の皆さんとの友好関係が深まるとの信念で、当時200項目以上あった国籍差別の撤廃に取り組んだ」。同氏は、さらに「民団という立派な団体がこの日本でしっかり息づいてこそ、日本と韓国との関係もより豊かになると信じている。これからも皆さん方が大いに活躍されることを期待している」とエールを送った。(2019年7月17日急逝)
(2020.02.12 民団新聞)