民族金融精神 忘れずに
今回の合併は経営基盤の弱い組合どうしによる点で、従来のセオリーでは考えにくいものでした。困難なでこぼこ道を転ばずに走ってこられたのは、韓日双方の関係者皆さんの熱意のこもった支援があったからです。改めて感謝します。
人材育成に心血そそぐ
合併というゴールテープを切った、「新たな地平を開いた」とは言えても、達成感を味わう段階にはまだありません。それはまだ通過点に過ぎないからです。
事業計画を初年度から必ず達成しなければなりません。できなければ、すぐにも業務改善命令が出るでしょう。困難な課題が山積しているので、むしろ今からがスタートというのが率直な心情です。
本店・本部を横浜に置きました。これはやはり、横浜・川崎の市場の大きさを見てのことです。営業面ではスケールメリットを大胆に生かすつもりです。
対内的にはまず何よりも、人づくりに力を入れます。両組合の役職員や店舗は一切整理しませんが、旧あすなろ信組から10余人ほどが本部勤務となります。両組合の役職員はやはり気質が違う。合併は融和の段階を超え、相乗効果を生み出さなければ意味がありません。それくらいの覚悟で臨みます。
外部からも有能な人材を登用し、村社会を打破しつつ、研修制度を整え、「単なる役職員」から「意欲的な活動者」にレベルアップを図りたい。
旧横浜商銀が存続組合となって北陸商銀と合併して誕生したのが中央商銀、旧長野商銀が存続組合となって群馬、栃木と合併して生まれたのがあすなろ信組でした。
時代の要請に基づく合併でしたが、その後に不良債権が顕在化するなど、決して成功したとは言えない要素がありました。今回は1年以上をかけ、両組合による相互検証のほか、外部の専門機関からも徹底検証を受けました。
昨年秋から本格的に普通出資や優先出資を集め、両組合の債務超過分(45億円)を全て消しました。ですので、横浜中央信組は不良債権ゼロからの出発になります。
普通出資が旧あすなろ信組地域を中心に11億円、優先出資が韓信協の合併2組合を除く5組合で21億円、全国の経済人から14億円。計46億円強が集まりました。そのうえで、全信組連を通じて金融機能強化法に基づく公的資金が190億円導入されました。
新業種開拓サポートも
横浜中央信組の自己資本比率は25%近くになり、最低基準値の4%を大幅に上回ります。ご苦労いただいた当局や同胞経済人の協力に頭が下がる思いです。
民族金融機関という性格には、メリットもあればデメリットもあります。ですが、民族金融機関としての精神はこれからも不変です。私自身、親の代から民団一家です。今回の合併でも、民団と韓商連の全的な支援を受けてきました。韓信協の結束はもちろんですが、やはり民団や韓商連が大きなバックボーンになっていることを痛感しました。
金融機関としてのルールのなかで本業に特化し、同胞社会と地域社会を幅広くサポートしていきたい。在日経済活性化へ新業種の開拓は言うまでもなく、新定住者への目配りもいっそう求められるでしょう。在日や日本企業の韓国への進出、韓国企業の日本への進出にも仲介・支援役を担うつもりです。
新商品としては、合併記念の定期預金などを考えているところです。販売商品が決まりましたらご協力のほどよろしくお願いします。
(2014.3.12 民団新聞)