韓信協(在日韓国人信用組合協会)の会員組合である中央商銀信用組合(本店・横浜市)とあすなろ信用組合(本店・松本市)が10日をもって合併し、横浜中央信用組合(理事長=呉龍夫韓信協会長。本店・横浜市)としてスタートした。営業エリアは地域信組では最大で、関東甲信越と北陸の12県にまたがる。総預金量は1122億円、貸出金761億円、出資金71億円。18店舗で常勤役職員は総勢183人。経営の健全性を示す自己資本比率は今月末に、国内基準(4%)を大幅に上回る24・4%となる見込みだ。韓信協会員組合は7から6組合となったが、全組合が健全な経営基盤を固めたことになる。結束をいっそう強めて民族金融の新時代を目指す。
健全経営基盤 強固に
【神奈川】10日午前8時半、横浜市中区蓬莱町の本店ビル前でテープカットが行われ、新生の横浜中央信用組合として全18店舗が一斉に業務を開始、歴史的な一歩を踏み出した。
金融庁の7日発表によれば、金融機能強化法に基づき横浜中央信組が全信組連(全国信用協同組合連合会)を通じて受け入れる公的資金は190億円。これとは別に合併支援金10億円が拠出される。申請額200億円に対してもほぼ満額の回答だった。
両組合が合併作業を本格化させたのは昨年2月。以来、韓信協主導のもとに合併協議委員会、自己査定検証作業部会のほか、業務分野別のワーキング・グループなどによる会合を重ねてきた。両組合とも合併にともなう隘路を熟知しているだけに、踏み込んだ折衝によって予断の徹底排除に努めた。
それでも最終的な合併の成否は、公的資金の導入にかかる。その必須条件は▽両組合の組合員をはじめ全役職員、民団・韓商など同胞機関の全面支援▽合併組合のガバナンス(統治・管理)、特に強力なリーダーシップの存在▽自助努力による資本増強の3点。
なかでも重要なのは、在日各機関の全面支援や強力なリーダーシップがなければ不可能な資本増強だ。しかも、両組合地域は度重なる出資で疲弊していたのは否めない状況にあった。
最大難関を突破するうえで大きな弾みになったのは、旧あすなろ信組地域における10億円を超す普通出資の確保だ。この努力が全国の有力経済人からの14億円の優先出資につながった。また、合併2組合を除く韓信協5組合による21億円の優先出資も、僚友組合を支え合うシステムの全面発動として高く評価された。
合併の存続組合である旧中央商銀の理事長として、新生・横浜中央信組の理事長となった呉龍夫氏は、「不良債権ゼロからの出発」であるにもかかわらず、初めての朝礼でも前途の厳しさを周知させ、使命貫徹に役職員の一致結束を求めた。
なお、この日開かれた第1回理事会で、常勤理事を9人から6人にスリム化し、代表権のある専務理事に旧あすなろ信組理事長の卞健一氏を選出した。
(2014.3.12 民団新聞)