民団中央本部の呉公太団長らは1日現在、愛知、広島、大阪、兵庫、東京、神奈川、福岡管内の31支部を回って支部役員と膝詰めで語り合いながら、12月の韓国大統領選挙を前にしての在外選挙人登録を呼びかけた。中央団長が末端の支部を回るのは久しくなかっただけに、各地で歓迎を受けた。今年の前半期対話集会から、組織活性化に向けて日々奮闘する支部の現状をまとめた。
民団中央団長ら「対話集会」 今年前半期が終了
公約とはいえ、今回対象となった各支部にとって、中央団長自ら降りてくることは最後まで「半信半疑」だったようだ。中央団長への敬意とともに、「こういう機会は2度とあるかどうか分からない」とばかり、支部の厳しい実情を訴える声も相次いだ。
共通した悩みは、世代交代がスムーズに進まないことや、財政難など。ある支部で役員が現状を明かした。「団費収入が少なくなった。団員からは『あんたら、なにやってんの』といわれる。3、4世はメリットのことを言い、団費を出さない。どうすればいいのか」。
団員奉仕に徹す
こうした厳しい実情のなかでも、愛知・一宮支部は、支部会館を活用した「ハングル講座」で毎年、期待を大幅に上回る収入をあげているという。同時に会館内でキムチを販売している。このほか、「財政と人があってこそ組織の力を発揮できる」とばかり、翻訳や領事業務など、無料でサービスしているという大阪・東大阪南支部のような例もあった。
東京の豊島支部は、「問題解決には情報と交流が必要。フェースツーフェースだ」と話す。神奈川・川崎支部でも「人が集まる支部づくりを。魅力は1人ひとりが自覚を持たなければできない」と呼びかける。
同世代の交流を
「キーマン」となる3、4世世代が民団に出てくる場づくりについては、各地で「年齢別、目的別に分けた小グループの交流会をつくるべきだ」とする提案が出された。呉団長もこの提案に賛同し、「同世代の人たちの集まりが必要。青年会から民団に入るまでのブランクをどうしていくのか。区画整理をしていきたい」と答えた。
兵庫・阪神支部ではある役員から、「上意下達だけでは組織は疲弊する。支部がいかに苦しんでいるかを見て、共通の目的のために力を合わせることが必要。私たちも民団組織のために何ができるかを考える」という声が聞かれた。
在外選挙人登録各地で呼びかけ
呉団長が各支部の対話集会で真っ先に強調したのは、大統領選挙に向けての在外選挙人登録の呼びかけだった。「本国に民団の力を大きく示そう。本国と連携しながら、皆さんの暮らしを守っていく。これこそが中央団長として最大の責務だ。1人ひとりが汗をかき、よりよい同胞社会を築こう」と。
選挙人登録は大統領選への関心が高いだけに、4月の第19代国会議員選挙での1万189人を大きく上回ると予想されてきた。呉公太団長は、それでも、大幅増を確かなものにしたいと、意欲を燃やしている。選挙人登録の呼びかけを起爆剤に団員との絆を強め、組織活性化に結びつけてほしいとの期待も込めた。
広島・安芸支部ではパスポート作成への配慮を呼びかける声が聞かれた。「有効期間が切れても更新しない団員がいる。印紙代は仕方ないにしても、手数料は免除してやるべきだ」。また、4、5年先を見据えて、パスポートに代わる新たな投票システムをつくってほしいと望む声もあった。このほか、在外選挙人登録と実際の投票と、2回も足を運ばなければならないことを負担と感じる意見や、投票に際して候補者を選ぶ基準となる判断材料の提供を求めるものも多かった。
2012年後半期の支部巡回は9月からを予定している。
(2012.8.15 民団新聞)