米に次ぎ売上高 世界2位
今、韓国は世界のアウトドア大国だ。登山服姿の人たちを街で見かけることは当たり前のようになった。山や海はもちろん、遊園地、デパート、大型スーパーをはじめコンサート会場や美術館などでもこの姿が多い。さらに結婚式場や葬儀会場でも見かけることが珍しくない。
かつて黒系が中心だった登山服も最近はカラフルになったことが人気を呼び始めた。
今年の韓国国内アウトドア業界の売上高は7兆ウォン台に上り、この規模は米国に次いで世界第2位だ。90年代初頭は1000億ウォン規模だったが、03年以降、年平均25%ずつ成長、各メーカーとも売り上げが毎年30〜40%も増加した。今年は上半期のセウォル号惨事の影響で伸び悩んだものの16%の増加となった。ファッション業界全体の成長率が4%台であることを勘案すると業界を支えていることがうかがえる。
60年代、国内の登山用品市場は米軍の軍需品を改造したテント、シュラフ、リュックが大半だった。90年代に入っても衣類の割合は伸び悩んでいた。しかし、95年にアウトドアブランド「ブラックヤック」の登山服が登場してから転換した。同社は広告で「山にもファッションが来る」と謳った。当時の反応は冷ややかだったが、それから20年足らずで、「登山ファッション」が大変身したのだ。
特に97年のIMF危機による失業者の多くが登山に繰り出したこともアウトドア人気の追い風になり、2000年代に入ると登山服は人気ファッションになりはじめ、レジャー用ではなく日常服の地位を占めた。このブームに火をつけたのが「登山の制服」とさえ言われている米国アウトドア用品「ザ・ノース・フェイス」の韓国上陸だ。
業界世界1位の同社は02年に「フリージャケット」とのフレーズで軽くて丈夫なフード付きジャケットを発売した。これが10代の若者たちに受け、一気に急成長した。
普段着に変身
登山服を全天候型普段着に変身させたアウトドア業界は登山服を「ライフスタイルウエア」と名付け、「山でも都会でも場所を選ばず自然に調和」とのキャッチフレーズで広報した。
3〜4年前から「7歳から70歳までが似合う服」と女性向けのPRをはじめた。定番だった赤、青、黄の3原色から、ピンク、黄緑、青、紫、オレンジなど、カラフルな色を増やし、さらにスレンダーに見えるデザインなども登場し女性の支持を広げた。アウトドアブランドの国内上位メーカーのジャケットは数十万ウォンもする。この高価な上着はもはやレジャーだけでなく、儀礼の場でも着ていけるとの概念を植え付けた。
また、登山服は海外旅行の定番にもなっている。ある旅行会社関係者は「海外で登山服を着ていたら韓国人だと思えば良い」と言っているほどだ。しかし、時と場所によって登山服姿は失礼だとの指摘も出ている。
ファッション関係者は「アウトドアがオールマイティと考えているのは韓国だけ。最小限の礼儀は守るべきだ」と述べている。
これらの指摘に登山服愛好家たちは、「登山服こそ最高の普段着」「結婚式は服装より気持ちが大事」と反論している。
(2014.11.26 民団新聞)