議論し選んだ18本を上映
日本大学芸術学部・映画学科の学生たちによる第8回映画祭「朝鮮半島と私たち」が12月8日から14日まで、東京・渋谷区のユーロスペースで開かれる。今年は、さまざまな切り口から、韓半島と日本、そして在日の姿を捉えた1930年代から現代までの18本を上映、韓国映像資料院、日本の国立映画アーカイブから借用した作品も含む。学生たちはこの映画祭を契機に、現代史における韓半島と日本、そして在日の歴史を学んでいる。
企画・運営を行っているのは、芸術学部映画学科3年映像表現・理論コース映画ビジネスゼミ生の13人。
映画祭は、同映画学科の古賀太教授の授業の一環として2011年から始まった。毎年、学生たちが発案し、作品の選定や上映交渉、会場運営などを行っている。
今年、「朝鮮半島と私たち」にテーマを決めたのは、昨年の授業で見た「キューポラのある街」がきっかけだ。
発案者でリーダーの金子絹和子さんは、初めて北韓への帰国事業という言葉や歴史を知った。「自国で起きていることを何も知らなかったという思いや、学校でも家でも、今まで誰一人教えてくれなかったことに、驚きと危機感を感じた」
金子さん同様、この映画を通じて知った学生は多い。「これは過去のことではなく、今も続いている問題。これから社会に出ていく次世代の私たちが朝鮮半島と日本について考えていくことが、一番大事なことではないかと思った」
上映される18本は、学生が議論して決めた。古賀教授は「日本の映画史は、朝鮮半島のことはあまり取り上げてこなかった」と指摘。「巨匠は誰も取り上げていない。ようやく探し出したのが清水宏。この人は明らかに韓国への優しい視点があるというのが映画を見て皆、感じ取った」
学生たちは帰国事業をきっかけに、韓半島と日本の「他人事」になってしまった問題を、「身近な問題」と捉え、勉強を重ねてきた。
南端絋光さんは「映画祭を通して、日本国内での在日の問題が本当に正しいのかどうか、多くの人に見極めてほしい」と話す。最初、映画祭のテーマに不安を感じていた韓国人留学生の金潤雅さんは「いろいろ考えてみると、自分の人生とか家族の歴史に関わりのあるテーマ。もっと多くの人に知ってもらいたい」という。
福島瑞木さんは「学生だからこそどちらにも偏らずにできるし、私たちがやることに意義があると思っている。私たちは映画を通して学ぶ姿勢でいるし、他の人にもきっかけになったらいいな」と語る。
上映作品は、清水宏の「京城」や「ともだち」、韓国映像資料院から借用した「授業料」と日本統治下の朝鮮を撮影した短編2作品(併映)は、貴重な作品だ。このほか「キューポラのある街」「戦後在日五〇年史[在日]歴史篇」「血と骨」ほか。
期間中、「絞死刑」の足立正生監督、「GO」の行定勲監督などのトークも行われる。
映画祭の詳細は(
http://nichigei‐eigasai.com)、問い合わせはユーロスペース(03・3461・0211)。
(2018.11.14 民団新聞)