掲載日 : [2004-12-22] 照会数 : 7522
<兵庫版>日本人と同額の支給要望(04.12.22)
[ 白永熙民団兵庫団長(右端)らは県議会の吉本県会日韓議連会長(左端)などに要望活動を行った ]
外国人無年金高齢者・障害者福祉給付金
兵庫県、神戸市、姫路市などに対し
民団兵庫県本部権益擁護委員会は、今年度も外国人無年金高齢者・障害者福祉給付金の増額を求めて、各自治体と議会に精力的に要望活動を行った。支給額が要求した額に達していない自治体のうち、県、神戸市、姫路市に対して要望活動を継続中だ。
コリアンを含めた在日外国人のうち、1926年4月1日以前に生まれた高齢者と1961年12月31日以前に生まれた障害者は、それまで国民年金に国籍条項があったため制度から完全に除外され、何の救済もなかった。このような状況を少しでも改善しようと、「障害年金の国籍条項を撤廃させる会」などの市民グループと民団は、80年代から行政当局に粘り強く働きかけを行ってきた。
その結果、90年代から兵庫県や県下の各市町は外国人無年金者に対し、自治体独自の救済策として「福祉給付金」の支給を開始した。当初は月額数千円と金額もわずかだったが、日本人と同様の処遇を求める運動によって少しずつ支給額が増えてきた。
現在兵庫県は、高齢者に対して月額1万1000円、障害者に対して月額2万2000円を支給している。一方、各市町は、県とは別に高齢者に対し月額1万5000円〜1万7000円(市町により異なる)、障害者に月額3万円〜4万1500円(同)をそれぞれ支給している。外国人無年金高齢者・障害者の場合は、県と市町の支給分を合わせた金額を受給している。
しかし日本人が受給している老齢福祉年金(月額3万3925円、04年度)や障害基礎年金(月額8万2758円、04年度1級)と比べて少額のため、当事者が日本人と同額を受け取れるよう、市民グループや民団は「福祉給付金」の県・市町それぞれの負担額を老齢福祉年金や障害基礎年金の半額に引き上げるよう要望してきた。
多くの市町では04年度までに「福祉給付金」の負担額をほぼ民団側の要望通りの額まで引き上げたが、県の高齢者で約6000円、障害者で約1万9500円、神戸市、姫路市、豊岡市では高齢者で約2000円それぞれ要求額に不足している(金額はいずれも月額)。
本部権益擁護委員会と民団の当該支部は、支給額が要求した額に達していない自治体のうち、県、神戸市、姫路市に対して要望活動を行った。
【兵庫県】民団兵庫県本部の白永熙団長、朴鍾遠副団長、権益擁護委員会の李鎮午委員長、金宣吉副委員長らは10月18日兵庫県議会を訪れ、最大会派の自民党に対して外国人無年金者に対する「福祉給付金」の県負担分の増額が実現されるよう協力を要請した。白団長は要請の中で「同胞高齢者に残された時間は少ない。祖国を離れて苦労を重ねてきたお年寄りに何とか安らかな老後を過ごさせてやりたい」と述べた。
本団の要請を受けて、門信雄県議(県会自民党幹事長)、寺本貴至県議(自民党、県会日韓議連会長)、山本敏信県議(県会自民党政調会長)らは「在日のお年寄りの皆さんが非常なご苦労をされたことは承知している。皆さんの要望が実現されるよう努力する」と答え、協力を約束した。その後、白団長、李権益擁護委員長ら一行は、同趣旨の要望を県の他の会派に対しても行った。
11月22日には、県本部権益擁護委員会の李鎮午委員長、金宣吉副委員長、李成俊オブザーバー(中央権益擁護委員)らが県庁を訪れ、久保修一福祉局長らと会見、来年度の「福祉給付金」の増額を強く求めた。
李委員長は要望の中で「日本の地で人生の大部分を過ごし、日本社会の発展に努力し、日本人と同等の義務を果たしてきた在日コリアンが、日本人と同様の保障を受けられないのは明らかな差別である。差別状況をいつまでも放置することのないよう、福祉給付金の増額をぜひともお願いしたい」と述べ、要望の実現を強く求めた。
これに対して久保局長は県の厳しい財政状況を説明し、「福祉給付金」の増額が容易でないことを示唆したが、民団側の要望には理解を示した。
【神戸市】12月10日、神戸市内の民団5支部の代表である金判洙東神戸支部支団長、崔相俊西神戸支部支団長、金鎮鳳兵庫支部支団長、金元鳳有馬支部支団長、河政淳東神戸支部常任顧問らが神戸市役所を訪れ、岡島亮介市議(市会自民党、日韓友好神戸市議連会長)と大下勝神戸市保健福祉局総務部庶務課長に面談し、「福祉給付金」の増額を要望した。
河常任顧問は「高齢者福祉給付金の対象者は最も若い人でも78歳になる。これ以上解決を先延ばしできる問題ではない」と述べ、増額の実現を強く要望した。
これに対して岡島市議らは「この問題は本来、国が処置すべき問題だと認識している。しかし当事者が高齢者であることを考えると、議論よりも救済措置を実行することの方が先決だ。市の財政はひっ迫していて増額は困難を極めることになるだろうが、市会の各会派のメンバーや市長にも事情をよく説明して、増額が実現するようできるだけのことはする」と全力を挙げて取り組むことを約束した。
【姫路市】姫路市には10月に鄭豪基西播支部支団長が行政当局に対して「福祉給付金」の増額を求める要望書を提出した。さらに12月20日には鄭支団長の他に韓洋雄民団県本部副団長(支部常任顧問)、金勇支部議長、金成基支部副団長、宋玉植支部副議長らが姫路市役所を表敬訪問、石見利勝市長や竹中隆一市議(自由市民連合)に面談して同胞高齢者問題の解決を訴えた。
(2004.12.22 民団新聞)