掲載日 : [2005-01-26] 照会数 : 7576
<コラム・布帳馬車>あまりに理不尽
理不尽は世に数々あるが、脱北者に対する最近の総連中央の言動たるや「理不尽もここに極まれり」との感を持たざるを得ない。
民団中央の一連の対話提案に対し、総連中央は「脱北者支援は共和国に対する敵対行為である」と指摘、脱北者支援事業の中止を求めているのだ。対話拒否の責任を民団中央に一方的に転嫁するものであり、理不尽この上ない。
民団は彼らが北韓から脱出することを支援しているわけではない。日本政府が入国を正規に認定した元在日同胞や日本人妻とその子弟らに対し、日本社会に一日も早く定着できるようほんのわずかな手助けをしているだけなのだ。
日本へ入国した脱北者の生活状況は困難を極めている。第三国では不法入国・滞在者として官憲の目から逃れながらの潜伏生活を余儀なくされ、やっと日本にたどり着いたときには、バッグ一つと数百円程度が手元にあるだけ。
その日の食事にさえ困り、泊まるところもないのが現状であり、その後の生活を考える余力など及ぶべくもないというのが実情なのだ。極端に言えば、心ある日本のNGOや民団の支援がなければ、日本に着いたその日から自力で生きていくことさえ困難だ。このような人たちを支援したからといって、総連中央がなぜ「共和国に敵対する行為だ」として非難するのだろうか。脱北者たちが北韓に「帰国」した経緯を振り返ってみても、総連中央が支援事業を批判するのはいかにも理不尽なのである。(H)
(2005.1.26 民団新聞)