掲載日 : [2005-01-01] 照会数 : 6036
各界新年辞 在日ウェーブで活力ある同胞社会を(05.1.1)
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駐日本大韓民国特命全権大使 羅鍾一
韓日共生は新次元に 「孝道精神」の先導を期待
親愛なる在日同胞の皆さん。
多事多難だった2004年の甲申年を送り、2005年の乙酉年を迎えまして、同胞の皆様に新年のごあいさつを申し上げます。
去る2004年は国内外で様々な出来事が数多く起きましたが、韓日関係から見ますと、2002年に成功裏に終えた韓日ワールドカップ共催大会以来、発展してきました両国関係が、より緊密に発展する条件が築かれた年であったと思います。
両国政府間は昨年7月と12月、一度ずつ盧武鉉大統領と小泉首相が相手国を交互に訪問し合い、厚い信頼を積み重ね、これを土台に両国首脳が格式にとらわれずに随時会い、主要懸案と相互の関心事に関して虚心坦懐に意見を交換する緊密な関係に発展しました。
さらに、2003年末に開設されました金浦‐羽田間のシャトル航空便運航などのお陰で、両国間は年間400万人の交流時代が到来しました。また、韓国のテレビドラマ「冬のソナタ」がNHKを通じて放映され、日本人の心をつかみました。「ヨン様ブーム」がすごい勢いで起きましたし、韓国でも日本の大衆文化が全面開放されるなど、両国はそれこそ交流の全盛期を迎えた感があります。
2005年は韓国と日本が国交正常化40周年を迎える意義深い年です。両国政府は今年を「韓日友情の年」と定め、各種記念行事を推進する予定です。
また、今年3月から開催されます「愛知万博」を契機に、日本を訪問する韓国人に対しては、一時的にノービザが実施される予定であり、自由貿易協定(FTA)締結のための政府間交渉も結実することが期待されています。いまや韓日両国関係は、以前に比べてはるかに親密な新たな次元の関係に変化しています。
尊敬する在日同胞の皆さん。
わが在日同胞は故国が厳しい状況に直面するたびに、常に先頭に立って支援してこられました。また、皆さんが永住している日本社会が困難にあったときも地域社会の一員として手を差し伸べる奉仕活動を行っており、大変誇らしく思っております。
昨年、際立って多かった台風と10月の新潟中越地震の時には、在日同胞も被害を受けましたが、日本人被災民のためにも少なくない誠金を支援し、自願奉仕活動をするなど、韓国人固有の温かい人情を遺憾なく発揮されましたことをうれしく思います。
それこそ在日同胞が「韓日関係発展のための架け橋」という名前にふさわしい役割を立派に遂行されておられると言えましょう。
今やますます発展する韓日関係とともに、在日同胞社会も日本で生まれた2、3世以後の世代が主役として登場する変革期を迎えています。日本社会も過去とは異なり、国際的な基準に立って外国人問題を取り扱うという新しい流れが造成されています。
国交正常化以後、長い間、在日同胞社会は特別永住権者という歴史的な特殊性を土台に、民団が中心になり、日本社会の差別や冷遇に対抗し、民族的主体性を守ってきました。しかし、いまや21世紀の新たな国際環境に足並みそろえ、われわれ自身の文化的主体性をはっきりとさせなければ、日本人からそれ相応の処遇を受ける定住者の集団となることは難しいと言わざるを得ません。
また、他の外国人定住者とも協力し、競争しながら日本人と共生する知恵を集めなければなりません。
私はこのような点から2005年には韓民族の倫理的土台とも言える「孝道精神」を民団が先導して下さることを期待しています。これを通じて伝統倫理の断絶により痛みをともなっている私たち自身が、文化民族として生き続けることはもちろんのこと、日本人の尊敬を集める定住者となるよう願ってやみません。乙酉年は力強く夜明けの到来を知らせる鶏の年です。新しい朝を迎え、わが在日同胞社会がこの地で父母と老齢世代を手厚く敬う「孝」の模範を示し、高齢化に悩む日本社会に夜明けをもたらす文化民族として位置づけられるようお願いいたします。
在日同胞の皆様のご家庭が健康と萬福に包まれるよう祈念いたします。
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民団中央本部議長 姜永祐
外国人の先輩役を 民団活動の核心ふまえ
新しい年を迎え、在日同胞の皆様は様々な抱負を抱いていると思います。その抱負が結実することを、まず祈念いたします。昨年は日本列島を襲った自然災害のため、多くの在日同胞も被害者になりました。
民団新聞は同胞被害者の実態を掲載し、多くの同胞が支援に参加するなど、民族的な助け合いの温かさを実感した年でもありました。
一方、北韓が日本人拉致を認めた02年以来、在日コリアンに寄せられる眼差しは厳しいものがありました。そのような逆風の中でも、日本における同胞の組織的な垣根を低くし、共通の課題を一緒に取り組んでいくという形が各地域で見られました。
たとえば、在日一世だけでなく、二世も高齢者になっていく現状は、国籍の違いや、考え方の相違を問題にすることなく、同胞全体の問題と受け止め、共通課題に挑戦もしています。
在日世代の重なりとともに、子孫の民族性が希薄になっていくのは、致し方ないことでもあります。1、2世の責務として、在日の歴史を子孫に伝えることの重要さから、民団として時間と知恵をかけて取り組んできた歴史資料館の内容が、同胞の理解と支援を得て、世代を超えて期待され、評価を受けるようになりました。資料館の設立は本国と日本社会からも好評を得ています。
残念ながら、民団として長年にわたって取り組んできた地方参政権獲得問題は継続審議になりました。
しかし、継続審議ということは、今後の運動によって実現の可能性が高くなってきたと受け取ることができるのです。力を結集して獲得をめざしましょう。
思い返せば、民団の活動は、在日外国人の先輩として民族教育の実現、民族金融機関の構築、在日外国人としての市民的諸権利の獲得、日本社会における友好・親善事業など、幅広い分野で成果を現してきました。
民団は、外国籍市民として世代を超えて市民的義務と責任と社会貢献を率先して実行してきたという自負心をもう一度、団員諸氏と再確認したいと思います。
民団の歴史の核心は、人権問題、親善活動などに直接携わる多くの成果を団員諸氏の奉仕精神によって実現してきた歴史であると言えます。
それらの歴史を互いに確認しながら、民団の今後の更なる発展と在日外国人の市民的リーダーとしての自覚の共有は必然と言えましょう。皆様方のご健康とご多幸を祈り、新年の挨拶とさせていただきます。
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民団中央本部監察委員長 金廣昇
挑戦と刷新怠らず 同胞意識の共有がカギ
波乱に満ちた新世紀の瑞祥の新春を迎え、団員皆様をはじめ諸先輩並びに組織の役員の方々に、謹んで門出の祝詞を述べます。
この慶賀の喜びをかみしめながら、大きな時代の転換期に新しい課題の打開に積極的に立ち向かい、すばらしい創造の年にしようではありませんか。
ご承知のとおり、韓日間は、02年のワールドカップ共催に続き、昨年は時代の趨勢ともいうべき両国間の芸術文化の交流が盛んで、特に韓流は怒涛の潮流となり、早や両国間の経済波及効果は2千億円をはるかに超える成果をもたらしたとの発表がありました。
また、来る愛知万博を皮切りに、両国間にはボーダレス時代を迎える大きなうねりが押し寄せてくることでありましょう。
かような変化の中、韓日両国には、戦後60年、国交正常化40年という意義深い節目の年を迎えるにいたりました。そして、目下FTA協定・APEC会議などを経て、アジア連合の時代の到来を希求されている最中でもあります。
しかし、両国の間には、依然、長年の諸懸案が取り残され、在日同胞にとっては、戦後処理の問題、歴史認識、地方参政権などの問題が山積みされ、両国間の大きな阻害要因にもなっています。
私たちは日本政府や関係機関に対し、開かれた社会の実現と多様化された共生の時代にふさわしい意識をもって、改善と処遇、そしてその措置が速やかに講ぜられるよう強く要請するところであります。
さらに、民団は朝鮮総連に対して今年の光復節を共同で開催するよう提案する一方、重点事業として組織改革、支部機能の改革、参政権獲得運動、歴史認識による教科書採択問題、ITの全国網推進、歴史資料館設置などの運動を進めてまいりました。
創造的な事業の展開として、意識改革や規約改正など、組織の新たな刷新に取り組み、各地で研修会や会議を進めています。
また、監察機関においても時代の変遷に対し、時局懇談会や監察会議を通して、その使命感の重さを痛感し、これらの変化を跳躍台にすべく、対応や戦略模索に精進しております。
今後とも三機関が一致協力して、在日同胞の意識の共有と地域の信頼関係を図り、また、海外同胞との紐帯強化と相互依存、国際協助時代に即した民団の理念や価値観の上に、しっかりとした座標軸をすえ、明るく豊かな未来社会の構築に邁進する所存であります。
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韓商連会長 金建治
地方韓商の活性化に全力投球
年頭にあたり、在日同胞商工人皆様に新春のお慶びを申し上げます。
昨年の台風や地震では多くの在日同胞も被害にあわれ、いまだ復興に苦労されております。心よりお見舞申し上げます。
一方、韓国においては景気対策の急務が叫ばれていますが、なかなか抜本的な景気対策がとられていないように思われます。われわれ商工人は、いかなる状況下にあっても商売を休むわけにはまいりません。
同じく商工会議所の活動も、衆目周知の活動とともに、たゆまない縁の下の活動があります。〞地方韓商活性化〟、〞税務問題〟、〞企業再生〟、〞全世界の韓人商工人ネットワーク構築〟など、活動を絞って一歩一歩進んできた結果が、おぼろに形を出し始めました。この芽が、大きく育ち、鮮明な形状を織り成すことを私は信じております。
今年は、金融機関の完全ペイオフが4月に迫り、定住外国人の地方参政権も大詰めを迎え、ますます韓商、民団、韓信協の結束が求められます。解放60年、われわれは地を這う努力で経済基盤、定住者の地位を築いてまいりました。この不屈の精神こそ韓民族の宝だと私は思います。この精神力があれば、必ずやこれからも在日は繁栄を続けていくことと信じてやみません。皆様も〞ハミョンテンダ!やればできる!〟の心意気で、今年をより良い年にしてくださいますよう祈念いたします。
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韓信協会長 洪采植
ペイオフ乗り越え全力尽くす
年頭を迎えるにあたり、謹んで新年のご挨拶を申しあげます。
昨年、日本経済は株価上昇に続いて不動産市況も底入れの動きを見せるなど長い不況からようやく脱する動きを見せた1年でありました。ただ、景気に力強さはなく今後、多少の停滞感も出てくるかと思われますが、再びデフレ不況に逆戻りする可能性は小さいと見ております。
さて、本年は4月にペイオフ完全解禁という金融業界にとっての一大イベントが予定されております。
大きな混乱は回避できると見ておりますが、ペイオフ完全解禁を機に、各金融機関は生き残りをかけて収益基盤の強化や規模拡大に邁進することは間違いなく、銀行の合併統合の動きはむしろ加速するものと見ております。
こうした動きは当然、当協会会員組合にも大きな影響を及ぼすことになると思われます。会員組合はペイオフを乗り越え民族金融機関として生き残るために最大限の自助努力を傾けてまいりました。会員組合において本年は、ペイオフ解禁を注視しながら預金増強等による経営基盤強化を図るとともに、合併・統合につきましても答を出すべき1年であると思います。
また、会員組合の自助努力も地域同胞の支えがあってこそ報われるものでありますので、在日関連機関の多大なご支援・ご協力を賜りたくお願い申し上げる次第です。
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新韓金融持株会社会長 羅應燦
世界的な総合金融グループへ
昨年は長期間の沈滞によって活力が落ちていた日本経済が新しい復活の信号音を全世界に鳴らし、「トヨタ方式」に代弁される特有の頑張りと堅実な底力を遺憾なく発揮した1年でした。
一方、史上初の輸出景気の好況にもかかわらず、内需沈滞、雇用不安などの経済的不安の要素が潜伏している韓国は、現在再跳躍の岐路という新局面を迎えていると言えます。そのような激変の中で、新潟県中越地方の強震をはじめとした災害に打ち勝つための70万同胞と民団の努力は、玄界灘をはさんだ韓国でも大きな話題の一つでした。一致団結した人類愛と貢献活動は、母国の私たちにも大きな感動を与えてくれました。
また、「冬のソナタ」など、多様な形態の文化的交流が「韓流」という名前で展開され、韓国人と日本人の親密感が深まる現象は、何よりもうれしいことでした。同胞はもちろん、過去半世紀を同胞の権益擁護と文化向上のために誠心誠意尽力した民団の縁の下の努力の産物です。
現在、わが新韓金融グループは、韓国最古の朝興銀行を一家族に迎え、金融界において韓国の熱情的文化と日本の健康な伝統が共存した新しい文化と組織を指向しています。
昨年、史上最高の成果をあげた私たちは、新しい覚悟と希望を持ち、世界的な総合金融グループとして跳躍するため最善を尽くします。
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本国投資協会会長 郭正昭
本国への投資望む在日を支援
新年明けましておめでとうございます。今年は乙巳条約締結100周年、光復60周年、韓日国交正常化40周年と、私たち在日韓国人にとって大きな意味をもつ出来事の区切りというべき節目の年となっています。
当投資協会も1974年に大阪で設立総会を開いて30年が過ぎ、世代交代という転換期を迎えました。現在作業を進めている30年史の製作は、これまでの活動の記録となるとともに、これからの進路を模索する上で大いに役立つものと考えております。
かつて1世の投資は、経済基盤の脆弱だった本国では、恵みの雨にも匹敵するものだったに違いありません。しかし、その間の本国の人々の努力により韓国経済は先進国の水準に達しました。そして、それは相対的に在日の投資の影響力を縮小させてきたと言えます。 このような現状を踏まえ、これからの在日の本国投資を考えてみると、不動産や株といった分野への投資、あるいは日本で成功したベンチャービジネスやニッチビジネスなどへの進出が盛んになるのではないかと思われます。当協会としては、投資分野に対する調査研究と本国への投資を望む在日を支援する方法の検討がこれからの課題として浮かんでくるように思われます。
次の世代のために、万端の準備を整えて節目の年の第一歩を皆様とともに力強く踏み出したいと思います。
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婦人会中央本部会長 金定子
ぜひとも老人ホーム建設実現
夜明けを告げる酉年を迎え、全国同胞の皆様方の益々のご健勝を心よりお祈り申し上げます。
一昨年から昨年にかけ、婦人会の福祉事業に対し、多大なるご協力とご支援を賜りましたことを心よりお礼申し上げます。誠にありがとうございました。
昨年、ある有料老人ホーム開設式典に参り、施設を拝見させていただきました。大変すばらしいホームでございましたが、有料であるため、他よりは低料金とは言えども、経済的には裕福な方でなければ利用できないと感じました。
それゆえに、民団と婦人会が全力を注ぎ、全国的に一丸となり、一日も早く福祉事業老人ホーム建設を実現させなければならないと痛切に感じました。
婦人会ではムクゲファミリーを設立し、特定非営利活動法人NPO許可を獲得しました。今後はあらゆる福祉問題に関与していく所存でございます。老人福祉問題はもとより、孤児院に預けられている同胞の孤児たちにも手を差し伸べてゆきたいと思います。一人の大きな力より大勢の小さな力を結集すれば、何事も成功の道近しと考えます。
全国同胞の皆様方のご理解とご協力、ご支援を切にお願い申し上げるとともに、同胞の各団体のご発展と皆様方のご活躍、家庭のご多幸を心より祈念申し上げ新年のごあいさつとさせていただきます。
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体育会中央本部会長 許寧太
スポーツ通じ同胞の心身練磨
新春を迎え、在日同胞の皆様と祖国、そして友人の日本の国民の皆様に、謹んで新年のお慶びを申しあげますとともに、地震、台風による被災者の皆様へのお見舞いと被災地復興を心から深くお祈り申し上げます。
昨年は経済不況、戦争等の闇に苛まれておりましたが、「闇が深ければ深いほど暁は近い」という自然現象の如く、一日も早く皆様方が念願される平和で爽快な夜明けが訪れるよう期待いたしております。
本会は、混迷する世相の中で「ふれあい体育広場」スポーツ事業を通して、在日同胞優秀選手の発掘育成、青少年育成と同胞親睦和合という人間の心身練磨に貢献すべく、役職員一同努力いたしております。
また、全国の民団をはじめ、有志皆様の力強いご支援を賜り、第85回全国体育大会に在日同胞選手団(団長・朴安淳)を選抜派遣、選手たちは韓国民の万雷の拍手と歓声に歓喜感涙し、海外選手との競技では、技量を大いに発揮し、海外同胞種目総合優勝の栄冠に輝きました。
そして、本会が推進した韓日共同応援団、韓日スポーツ民間親善交流事業は、韓日の文化、芸術、音楽、経済界などの交流拡大機運の高揚に貢献することができました。温かいご支援を賜りました皆様方に、謹んでお礼申し上げます。
ご家族皆様のご多幸とご健勝を祈念申し上げます。
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青年会中央本部会長 壽隆
歴史かみしめ未来へ生かそう
希望に満ちた新しい年を心からお喜び申し上げますとともに、皆様にとって本年が幸多からん年となりますことをご祈念申し上げます。
本年は『歴史的な節目』として、韓日関係はもとより私たち在日同胞社会にとって、苦難の歴史を超え、更なる飛躍を目指す起点の年となることを心から願うばかりです。何よりも私たち青年世代は社会の前衛として、これから自らが創りあげる未来を担う責任と自覚を強く持ち、様々な活動に取り組んで行きたいと考えております。
本年度は「歴史」「民族文化」「社会参画」をキーワードに取り組んで参ります。今年度にあたる全国的な「教科書採択」に際しては、歴史の教訓から学び、次代にそれを伝えることを強く訴えていきたいと思います。その一方で、〞韓流〟に象徴される友好ムードの中で「民族文化」を多くの人々に親しんで頂くため「韓国語学習カレンダー ハングル月暦」の作成など、在日同胞の存在を社会へアピールできるよう取り組んで参ります。また、社会の急速な変化の中で、日本に定住する外国人のリーダーとしての役割が私たちに求められていることを考え、生きる社会での貢献を目指し、是非とも「定住外国人の地方参政権」が確立されるよう、声をあげていきたいと考えています。本年も変わらず、皆様の温かいご指導、ご鞭撻、ご支援を宜しくお願い申し上げます。
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学徒義勇軍同志会会長 権東國
命を捧げた精神を次代へ継承
北韓人民軍の南侵により、同族相殺の韓国戦争が始まった1950年6月25日。このとき、祖国存亡の危機に「祖国韓国と自由民主主義を守ろう」と在日青年・学生らが立ち上がり、民団中央本部が設置した「自願軍本部」に結集した642人によって組織されたのが、われら在日学徒義勇軍であります。
第1陣から第5陣に分けて出陣した義勇軍は、わずか1週間程度の訓練で祖国守護の第一線に送られ、生きて日本に戻って来られたのは265人、講和条約発効により日本に戻れず、本国に残留した者が242人、残り135人の青年が尊い命を犠牲にしました。
あれから55年の月日が過ぎましたが、今日の在日同胞社会が存在するのも、祖国の危機に自願出陣し、自らの命を賭けて国を守ろうとした義勇軍の精神を抜きにしては語れません。
本会ではこうした参戦の歴史的事実が忘れ去られぬよう、昨年7月に長年の夢であった「在日同胞6・25韓国戦争参戦史」を発刊いたしました。300頁にもおよぶ参戦史には、数々の秘密文書や在日学徒義勇軍の苦闘ぶりが収められていますが、本書を通じて祖国に貢献した在日の歴史が、次世代にしっかりと伝わることを願ってやみません。在日同胞の皆様の家庭に健康と幸運がありますようにお祈りいたすとともに、皆様の厚いご支援を心よりお願いいたします。
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学生会中央本部会長 李成鎬
同胞つなぐネットワーク作る
新年あけましておめでとうございます。今年1年が皆様にとってそして民団にとって良い1年になりますよう、心よりお祈り申し上げます。
今日、日本の在日社会は1世、2世の努力のおかげで普通に生活していく上で支障がなくなってきましたが、そのためなのか在日韓国人としての民族意識が薄らいできています。
しかし、いまだに地方参政権問題や昨年末に最高裁で争われた昇進問題など、われわれ在日韓国人に関わる問題が残されています。
学生会では参加してくれている皆さんとともに民族の歴史や情勢を伝えながら、現状に甘えるのではなく、もう一度在日としての自分を再認識させながら在日という地位を向上させていけたらと思っております。
未来の在日社会はわれわれ3世にかかっています。未来を担う青年たちを集め、若いうちから同胞の仲間を持ち、さまざまなことを話し合える環境を学生会が責任をもって、その土台をつくっていく所存であります。
在日社会を未来につなげていくために学生会では、工夫を凝らした独自の活動やインターネットを活用したネットワークづくりなど、時代に対応した広く柔軟な視野を持って活動していきたいと思っております。自身への期待、皆様からへの期待に応えられるよう学生会活動と勉学に益々精進していく所存であります。
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在日科技協会長 洪政國
科学技術の交流で韓日を結ぶ
韓・日間と在日同胞にとって歴史的な2005年を迎えた今年、皆様方の益々のご繁栄をお祈りいたします。
韓日間の文化交流の起点は、中世以前は別として、百済時代の王仁博士の来日です。その後、朝鮮朝時代の朝鮮通信使に至るまで、両国間には多くの文化交流がありました。
韓民族には世界的に優れた科学技術が多くありました。世界で最初の金属活字や測雨計、世界で最古の天文台、医学、鋳造技術や製紙技術、社寺仏閣並び木造建築技術や石造建築技術も極めて高い水準にありました。そしてこれら科学技術が韓国から日本にもたらされたことは、良く知られたところです。
一方で、光復以前には日本の大学で理工系を学び帰国して祖国のために活躍した李泰奎博士や李升基博士がいます。また、白菜や大根の品種改良を通して光復直後の祖国に貢献した禹長春博士もいます。韓国戦争後の祖国の復興に立ち上がった在日の学者が、最初の学者の集まりである新韓学術研究会を発足させたのは1952年でした。
科学技術や文物、学者の交流は昔も今も、韓日を結びつける重要な役割を果たします。芸術や芸能に、もう一つの基軸である科学技術も加わって文化交流を強固にし、相互理解と信頼が醸成されると信じます。私たちは、在日の研究者の求心体としてその役割を果たす所存です。
(2005.1.1 民団新聞)