掲載日 : [2019-09-26] 照会数 : 6681
家族の絆描く 「お料理帖~息子に遺す記憶のレシピ~」
[ 母を襲った認知症に戸惑う家族 ]
認知症になった母親と家族の絆を描いたキム・ソンホ監督の映画「お料理帖~息子に遺す記憶のレシピ~」(配給=アーク・フィルムズ、シネマスコーレ)が13日から、東京のアップリンク渋谷、アップリンク吉祥寺ほか全国で順次公開されている。1冊の料理帖に遺された家庭料理の数々と、母親の家族への複雑な思いと愛情を描いたヒューマンドラマ。
女手ひとつで30年間、惣菜店を営みながら2人の子どもを育ててきた母、エラン。しかし息子のギュヒョンは万年非常勤講師で生活能力もなく妻に頼りきり。亡くなった自分勝手な夫の影を息子に見てはつい小言ばかり言ってしまう。
そんなエランに認知症の症状が現れる。ギュヒョンは母を介護施設に預けることに決め、家の片づけを始めると、1冊のノートを発見する。そこには息子や孫に宛てた自家製レシピと、家族への思いが綴られていた。
平凡な日々を送っていた家族に、突然突き付けられた認知症という現実。不安と諦めが交差する中、ギュヒョンのとったある行動によって、親子は絆を深めていく。
人知れぬ苦悩を抱えながらも、家族のために生きる母親の喜怒哀楽を細やかに演じるイ・ジュシルと、いくつになっても分別のない息子役を演じたイ・ジョンヒョクの演技は、本物の親子を思わせるほど自然だ。
(2019.09.25 民団新聞)