掲載日 : [2019-11-27] 照会数 : 6773
河正雄さん 画廊で初の個展「開いた片手」モチーフに
[ 作品を前に語る河正雄さん ]
「開いた片手」モチーフに、2羽の鳩に対話へ祈り込め
河正雄「世開」展が東京・中央区銀座の秀友画廊で開かれている。河さんは学生時代に絵の才能を認められたことはあるもののあくまで趣味の領域であって、商業画廊で個展を開くのはこれが初めて。同画廊を運営する浅野恵巳さんが河さんの著書『祈りの美術』に収録されていた作品に「人の気持ちを引き付ける」と感銘を受け、出品を依頼した。
作品は「開いた片手」をモチーフにした20点。片手は単純化された構図ながら、右端が短かったり、左端が短いものも。縁取りの色や太さも微妙に異なる。片手の上には2羽の鳩が羽ばたく。国や民族を超えて双方が自由に対話、交流してほしいという祈りを込めた。
河さんは青年時代、京都竜安寺で偶然、松倉紹英住職(当時)と出会った。住職は河さんの手を取って「君は両手いっぱいの宝を握っている」とほめ、「片手を交互に開けては握ることにより、末は素晴らしい人生になる」と諭してくれた。河さんはこの言葉を「人生の指針」とし、社会に奉仕する人生を歩んできた。
東大阪市生まれの秋田県仙北市育ち。学生時代に画家を志すも「画家では飯は食えない」と母親から反対され、事業家のの道へ進んだ。在日同胞作家、全和鳳の絵と出会い、「祈り」をコンセプトに在日同胞美術家の作品をコレクションするようになった。収集した作品を韓国と日本の美術館に寄贈してきた。
29日まで。問い合わせは秀友画廊(電話・FAX03・3573・5335)
(2019.11.27 民団新聞)