コロナ禍を乗り越えて未来への絆をより強く
写真で見る民団社会 2020年
韓日友好の橋、同胞と次世代の橋、韓半島平和への橋ーーの三つの「橋」を架けることを新年メッセージで提唱した3年目となる呂健二執行部は①韓日友好親善に尽力②同胞の生活と権益を守る③次世代を育成する④組織基盤を強くする⑤韓半島の平和統一に寄与するの5つの柱を重点活動に掲げた。
しかし、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大という思わぬ「天災」によって、民団の活動は大きく立ち往生した1年だった。
地方本部をはじめ、傘下団体の委員会・大会・総会も対面方式の開催を取りやめ、史上初の書面決議に代えた。また、次世代育成事業の中でも、母国訪問イベントの目玉でもあるオリニジャンボリーに続き、中・高校・大学生の母国訪問研修も中止に追い込まれた。
それでも各級機関が工夫を凝らしながら、3密回避やリモート方式など、常識を変えてイベントを開催した。青年会では「オンラインで未来へ」をテーマに5カ所を結び中継する形式でワークショップを開催。
韓日友好親善に関しては「こんな時こそ民間交流を」と、民団各地方が日韓親善協会とスクラムを組み様々な方式で「交流マダン」など、草の根交流活動を展開した。12回目を迎えた韓日祝祭ハンマダン(日韓交流おまつり)も初めてオンライン方式で開催し、民間交流の根強さを示した。
あわせて、映画「パラサイト」アカデミー賞の効果、ドラマ「愛の不時着」、K‐POP「BTS」のビルボード1位など、第4次韓流ブームによって、民間レベルでは韓国への親近感が高まった。
組織基盤強化では「ネットワークを作ろう!戸別訪問運動」を各地方で継続し、コロナ禍の団員の安否確認と激励に励んだ。
国会議員在外投票、東京が最多
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第21代韓国国会議員選挙・在外選挙投票が4月6日までの7日間、世界各地で行われた。新型コロナウイルスの世界的な感染拡大で55カ国91カ所の投票所が閉鎖され中止となったが、日本では駐日韓国大使館をはじめ10の公館所在地、16カ所すべてで予定通り投票が行われた。在外有権者数4万856人が投票し、投票率は23・8%だった。公館別投票所の中で最も投票者数が多かったのは駐日韓国大使館(東京)の5089人だった。
「支援策で外国人排除せぬよう」民団が要望書
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民団中央本部の呂健二団長は4月6日、新型コロナウイルスの支援策から在日外国人住民が除外されないことを求めた公明党の山口那津男代表宛ての要望書を提出した。
山口代表は後日、「民団の要望に沿うかたちで進める」と応え、自公の協議で受給対象は国籍には問わず、住民基本台帳の登録者を基本とする方向をまとめるなど、民団の要望が反映された。
地方委員会・大会など史上初の書面決議
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新型コロナウイルスがパンデミックに至ったことで民団中央本部は3月中に開催が義務づけられている地方委員会・大会・総会および中央傘下団体の大会を今年度は開催せず、書面決議によって開催に代える「特例措置」を執ることを決め、各地方本部及び傘下団体に通達した。支部大会・総会についても同様とした。
次世代イベント相次ぎ中止に
新型コロナウイルス感染拡大で、民団の行事が相次いで中止となった。特に母国で開催する次世代育成事業に大きな打撃を受けた。次世代母国イベントとしてはシンボル的存在でもあるオリニジャンボリーはオリニとその世話をする青年・学生あわせて500人のビッグイベントだ。また、在外同胞財団が主催する中・高校・大学生対象の母国サマースクールもすべて中止となった。
韓信協「同胞へ支援展開」…民団がつなぎ融資を要望
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新型コロナウイルス感染拡大の影響で同胞の事業体への影響が深刻化する中、民団中央本部の呂健二団長は4月9日、韓信協(在日韓国人信用組合=呉龍夫会長)の呉会長と面談し、同胞企業体に対する円滑なつなぎ資金の供給、元金返済猶予などの支援を求めた。あわせて近畿産業信用組合にも同様の要望を行った。
呉会長も「同胞社会経済の血液循環の役割を果たすのが韓信協。全会員組合にも呼びかけ、同胞への応援を惜しみなく展開していく」と応えた。
「コロナ融資」パチンコ業も対象に
新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、在日同胞が営む事業所も大きな打撃を受けている事業者への「資金繰り支援」やセーフティネット保証5号の対象業種にパチンコ業も追加指定となった。
セーフティネット保証への適用を巡っては、東日本大震災後に全日遊連が経済産業副大臣に陳情書を提出したが、実現されなかった。今回は民団の地道な要望活動が功を奏した。
民団が医療機関に防護服など寄贈
民団中央本部では新型コロナウイルス事態から人々の命を救うため、医療の最前線で活動をしている日本の医療従事者を支え、感謝と敬意を込めて、不足している医療用防護服1万枚、フェイスシールド8000枚、ゴム手袋1万セットなどの医療用防護具。いずれも韓国製で総額約4000万円分の物品を購入し、6月22日までに厚生労働省を経て贈った。
横浜幸銀新本店ビル竣工…地域住民と一体に
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横浜幸銀信用組合(呉龍夫理事長)の新本店ビルが竣工し、2月25日に正式にオープンした。新本店のコンセプトは「充実と快適」とし、より強固な業務運営体制を整備し、様々なサービスを提供するとともに、快適なコミュニティスペースにしていく構えだ。地域に開かれたコミュニティスペースとして1階には地域顧客の作品を展示・観賞できるライブラリーラウンジ・ギャラリーを設けた。また有事には避難所としても機能する。
オリニ土曜学校、そろり開講
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日本政府の「緊急事態宣言」が解除され、民団の次世代育成事業の一つ、「オリニ土曜学校」が6月にそろり開講した。宣言が解除されたとはいえ感染拡大は続いているので、オンライン学習と併行しての手探り状態が続く。オフラインの現場でも「新しい生活様式」で徹底的な衛生管理を講じた。
107日ぶり公式行事…第65回顕忠日追念式
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第65回顕忠日追念式が6月6日、港区の韓国中央会館で営まれた。新型コロナウイルス感染予防の関係で規模を縮小、戦没者遺家族、公館と民団および傘下団体代表ら約60人が参列した。民団中央本部としては2月20日の第74回定期中央委員会以降、107日ぶり初の公式行事となった。式後は参列者全員で新型コロナウイルスの最前線で尽力している医療関係者に対して感謝と応援を込めた「トップネ(おかげさまで)チャレンジ」、手のひらにグッジョブを乗せるパフォーマンスを行った。
光復節中央記念式典も規模を大幅に縮小
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第75周年光復節中央記念式典(民団中央本部主催、東京本部主管)は15日、東京港区の韓国中央会館で開催した。通年は都内の施設で約2000~3000人規模で開催していたが、今年は規模を大幅縮小し、参加対象を約60人に制限した。毎年参席していた日本各政党議員の招待も取りやめ、芸能公演や大抽選会も中止にした。一方、民団各地方でもコロナ対策を講じ、規模を縮小したほかネットライブ中継の地方もあった。
「愛の不時着」日本で大ヒット
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第4次韓流ブームの日本で、最もヒットしたドラマが「愛の不時着」だ。見ると語りたくなるけど、面白すぎて語りつくせないのが、「愛の不時着」の魅力。ネット配信という、ワンクリックで飛べる韓国がより身近になり、幅広いファンを獲得した。
「パラサイト」効果 「チャパグリ」日本にも
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2月に第92回アカデミー賞に世界で注目されていた奉俊昊監督の「パラサイト 半地下の家族」=韓国題名「寄生虫」=が作品賞に輝いた。アジア人初であり、非英語による作品が初めて作品賞を獲得する快挙を果たし、作品賞をはじめ、監督賞、脚本賞、国際映画賞(外国語映画賞)の4冠を達成した。
この受賞によって、日本でも韓国食品を扱っている同胞経営の店では、映画に登場する「チャパグリ」の影響で、即席麺「ノグリ」と「チャパゲティ」の売れ行きが好調した。
入学式・卒業式を中止か延期
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新型コロナウイルスの感染拡大で3月に予定していた民族学校の初・中等部の卒業式が中止または大幅に延期し縮小する事態となった。初等部と中等部が時差をおき、さらに在校生の出席は控え、保護者の人数も制限するなど、感染予防のために規模を縮小して実施した。
民族学校でもオンライン授業
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新型コロナウイルスの感染拡大で緊急事態宣言が発令された4月、休校が続く民族学校ではインターネットを使ったオンライン(遠隔)授業を導入する動きが本格化した。動画配信やテレビ会議システムなどを活用した。
一方で、4月の入学式も各校とも例年より大幅に縮小した。東京韓国学校は入学式を取りやめ、8日から分散登校をスタートした。新1年生120人が真新しいランドセル姿で登校、教室で担任の先生や友だちと顔を合わせて元気に学校生活をスタートさせた。
7月豪雨・同胞宅の浸水相次ぐ…熊本と福岡
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7月3日以降、熊本県を中心に九州や中部地方など日本各地で発生した集中豪雨である「令和2年7月豪雨」によって、熊本や福岡などの九州地区と岐阜県の同胞宅や店舗、事務所などで浸水被害が出た。民団中央本部では豪雨で同胞の被害をまとめた後、見舞金を伝達した。
婦人会直轄解除と正常化へ団結
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民団中央本部の直轄にあった婦人会中央(鄭夢周直轄会長)の第27期定期大会が10月16日、大阪市北区の大阪韓国人会館で開かれ、新会長に劉代永氏(前中央本部監査)が選出された。劉新会長は「大きな責務を背負ったが、婦人会の改革など、開かれた会づくりへ皆さんのパワーを借りながら全力で仕事をしていく」と当選の第1声。
11月27日までの2日間、全国から180人の会員が一堂に会して大研修会を開催。新体制が発足し、11月6日に民団中央本部の直轄措置解除から約3週間後、全国婦人会の新たな団結に向けた新執行部の順調な船出となった。
国体は延期になったけど親善試合で燃えた
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10月8日から亀尾市と慶尚北道一円で開かれる予定だった第101回全国体育大会が来年に延期されることになった。これに伴い、毎年、在日同胞選手団を派遣している体育会傘下の各競技団体も国体予選大会を相次いで中止にしたが、在日本大韓蹴球協会では「韓国国体は在日同胞選手にとっても大舞台。何とか活動の場を設けてあげたかった」と親善マッチという形で韓日親善サッカー大会を開いた。
京都国際、夢のセンバツ出場へ
京都国際学園が秋季近畿地区高校野球大会で韓国系の高校として初の4強入りを果たした。京都大会での過去の戦績を振り返ると2008年夏がベスト8、16年春はベスト4、18年春は優勝し、念願だった近畿大会出場を果たしている。来年のセンバツ出場が濃厚で関係者は初の甲子園へ期待の声が高まっている。
オンラインで未来へ…青年会、5カ所結びワークショップ
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在日韓国青年会中央本部(鄭昇栄会長)では11月28日、神戸をメーン会場に浜松、仙台、大津、長崎でオンライン中継するハイブリッド方式の「在日同胞青年ワークショップ~未来はつながる2020~」を開催した。5カ所合わせて60人が参加した。企画は「学び」と「連帯」を調和し、在日次世代たちによる「ゲスト公演」と「全体企画」をミックスした。
学生会KSJ、約1年ぶり全国イベント
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在日本大韓民国学生会(郭玹瑀会長)は11月22日、東京都内のホテルで「コリアン・スチューデント・ジャンボリー(KSJ)2020」を開催した。学生会は新型コロナウイルスの影響で今年3月のKSJWの開催を見送っていただけに、これがほぼ1年ぶりの全国イベントとなった。
コロナ禍でも絶やさぬ、地域密着型韓日交流
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コロナ禍で民団の各種イベントや行事が中止または延期が続く中、民団創団記念日の10月3日に合わせた「10月のマダン」が各地方で開催された。民団中央では各級組織に対し各種事業やイベント等を縮小、延期、中止等の措置を取っていたが、日本政府の新たな指針に従って、「感染対策を十分に取り、民団活動を再開・推進」していくことを各級組織に呼びかけた。各地方は民団の秋の風物詩でもある「10月のマダン」を規模を縮小しながらも、感染防止策を考慮し、工夫を加えた企画で動き出した。
オンラインでも友情を極める…韓日祝祭ハンマダン
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韓国人と日本人が一つになって作り上げていく最大規模の韓日交流イベント「第12回韓日祝祭ハンマダン(日韓交流おまつり)」が9月26日、オンラインで開催された。韓日関係の悪化が継続している中、「こんな時こそ民間交流を」と新たな取組みとしてオンラインでの開催を企画した。今年のスローガンは「心あわせて乗り越えよう」で、駐日韓国文化院で行われた各種イベントを配信した。
コロナに負けるな!各地方で家庭訪問
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各種行事が中止・延期となった民団各地方では「ネットワークを作ろう!家庭訪問運動」を実施し、団員の近況や世帯情報の把握はもちろん、コロナ禍によって影響を受けた団員被害状況の把握や給付金や、融資制度などの情報提供も行い、慰労と激励に努めた。各家庭にはマスク、消毒液などの予防対策品や韓国食品などを配布した。中央本部の活動者も加勢して集中活動を展開した京都の南支部、左京支部、広島、宮城のほか、大阪本部では「団員慰問事業」として5000世帯、東京本部では各支部で光復節のお土産を団員宅に届けた。
育鵬社の教科書、全国で相次ぎ不採択
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2015年の採択で歴史認識や憲法観などをめぐって賛否の分かれていた「新しい歴史教科書をつくる会」の流れをくむ育鵬社版の中学歴史・公民教科書を採択した各地の教育委員会が、次々と他社版に切り替えた。特に東京都教育委員会は都立中の育鵬社教科書はすべて不採択となった。
韓日改善、糸口探る…韓日議連会長ら民団と意見交換
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韓日議員連盟(金振杓会長)代表団8人が訪日し、11月12日に日韓議員連盟(額賀福志郎会長)と合同幹事会を開き、交流・協力策や新たな韓日関係を構築するために努力していくことで一致した。民団中央本部とも懇談会を持ち金会長は合わせて、「両国の交流協力拡大には民団の役割が欠かせない。良いアイディアがあれば積極的に提案してほしい」と呼びかけた。
また、文在寅大統領は次期駐日大使に政界を代表する日本通の与党「共に民主党」前国会議員、姜昌一氏を内定した。韓日関係改善への文大統領の強い意欲の表れと受け止められている。
NHK広島ヘイトツイートに民団が人権救済申し立て
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NHK広島放送局が運用しているツィッタープロジェクト「1945ひろしまタイムライン」に民族差別を煽動する投稿があったとして民団中央本部人権擁護委員会(李根茁委員長)は、広島法務局と広島県弁護士会に人権救済を申し立てた。申し立ては民団広島本部(李英俊団長)と在日韓国人法曹フォーラム(李宇海会長)との連名。該当ツィートの削除と今後の再発防止をNHKに要請・指導するよう求めた。
「川崎ふれあい館」殺人予告に懲役1年の実刑判決
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日本人と外国人の多文化交流施設「川崎市ふれあい館」(同市川崎区桜本)に今年1月、在日韓国・朝鮮人の虐殺を予告するはがきを送ったなどして威力業務妨害罪に問われた元同市職員、荻原誠一被告(70、川崎区)に対し、横浜地裁川崎支部(江見健一裁判長)は12月3日、懲役1年(求刑・懲役2年)の実刑判決を言い渡した。
投票権なき「都構想」に在日同胞から疑問の声
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大阪市を廃止し、東京23区のような4つの特別区に再編する「大阪都構想」の是非を問う特別区設置住民投票が11月1日に行われる。この住民投票では、選挙権を日本国民に限った公職選挙法の規定を準用すると定められており、外国籍住民は参加できない。SNS上では「俺だって大阪市民や!」という在日同胞のつぶやきも見られた。
(2020.12.23 民団新聞)