語り部学芸員 在日同胞が下支え
国立ハンセン病資料館(東京都東村山市、国立療養所多磨全生園内)が6月25日、開館から20周年を迎えた。昨年までの入館者総数は、看護学校などの医療当事者を中心に27万4800人。
施設は敷地面積4500平方�。2階の常設展示室は「歴史展示」「癩療養所」「生き抜いた証」の3つのコーナーに分かれ、偏見と差別に苦しめられてきた回復者の生き様を後世に伝えている。
なかでも1930年前後の全生病院(現在の多磨全生園)の山吹舎の1室を再現展示した「雑居部屋復元」は規模の大きさとリアルさから展示室の目玉となっている。学芸員の金貴粉さんによれば、来館者アンケートでも「最も印象に残った」という声が多く寄せられているという。
金さんは東京学芸大学と同大学院で書道と博物館学を学び、中学と高校の国語と書道の教員免許を併せ持つ在日3世。05年に学芸員として採用され、07年のリニューアルにも関わった。
常設展示とともに重要な活動が、当事者自身による語り部活動。現在は佐川修(本名・金相権)さんと平沢保治さんの2人が担当している。それぞれ自分の経験に照らしてハンセン病の歴史を話した後、展示解説をしている。学習意欲を持ってくる来館者には好評だ。
佐川さんは現在の資料館の前身である「高松宮ハンセン病資料館」の資料収集・展示対策委員会の委員として92年、全国18カ所の療養所や病院などの関連施設を回り、資料収集にも奔走した。
午前9時30分〜午後4時30分(入館は午後4時まで)。無料。毎週月曜日休館。�042・396・2909。
(2013.7.3 民団新聞)