李丙駐日大使は5日、新宿韓人発展委員会が中心となって取り組んでいる新大久保コリアンタウン「クリーン活動」に加わり、約1時間にわたってゴミ掃除に汗を流した。「クリーン活動」に駐日大使が加わったのは今回が初めて。一緒に活動に参加した地元の飲食店主らは「うれしい」、「力強く思った」などと感激をあらわにしていた。共催団体の民団新宿支部も10人が参加した。
善隣風土醸成を後押し
李大使は自らの意思で「クリーン活動」への参加を決めたという。背景には「在特会」(在日特権を許さない会)による排外主義的な差別扇動行動によって、経済活動に大きなダメージを受けた在日同胞飲食業者を励ましたいという強い思いが働いた。
新大久保に飲食店を出店している呉永錫さん(民団東京本部副団長)によれば、「かつてに比べ、売り上げが50%も落ちている」という。「人通りで身動きが取れないときさえある『イケメン通り』が、金曜日の夕方なのにこの人出の少なさだ」と嘆いていた。
在日本韓国人連合会の関係者も、「大使にとって在特会は、のどに突き刺さった骨のようなものなのでしょう」と語っていた。
この日の参加者は普段を上回る54人だった。そろいのビブスに身を包み、3組に分かれて、大久保通りから「イケメン通り」、職安通りまで、不法投棄物やポイ捨てされた飲料缶、たばこの吸い殻などを拾い集めた。李大使もゴミ袋を手にして、放置自転車の陰に隠れたり、側溝の奥に埋もれたゴミまで拾い集めた。
そばで見ていた民団新宿支部の安容範支団長は、「火ばさみを使っては簡単に取れそうもないゴミまで手を伸ばして取っていた。韓日関係をよくしたいという大使の一途な気持ちが素直に伝わってきた」と、感激した表情だった。周囲の日本人住民も「韓国大使」と聞いてびっくりしていた。
約1時間にわたる清掃活動を終えた李大使は、「このようなボランティア活動は韓国と日本の友好増進に貢献できると思う。また、赴任してから在日同胞のいろいろな苦しさを耳にした。ここの韓国民の声を直接聞きたいとも思って参加した」と明らかにした。
新・旧同胞の団結呼びかけ
クリーン活動終了後、李大使は新宿区内で開かれた参加者との懇談会に臨み、「新大久保を中心に反韓デモなどがいまだに続いている。在日同胞の方が日本社会のために尊敬を受ける存在になれば、韓日関係も発展すると思う。そのためには新旧の在日同胞が一丸となって頑張らないといけない。分裂したままでは、大使館の外交力も弱くなる」と在日社会の団結を強く訴えた。
(2013.7.17 民団新聞)