掲載日 : [2020-12-23] 照会数 : 6258
キム・チョヒ監督長編デビュー作「チャンシルさんには福が多いね」1月8日から公開へ
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アラフォー女性の奮闘コメディー
韓国映画界の第一線で活躍する女性監督、キム・チョヒの長編デビュー作「チャンシルさんには福が多いね」(配給:リアリーライクフィルムズ+キノ・キネマ)が2021年1月8日から、東京のヒューマントラストシネマ渋谷・ヒューマントラストシネマ有楽町ほかで公開される。
本作は、ホン・サンス監督の元プロデューサーとして活躍してきたキム監督が、自身の体験を投影したもので、アラフォー女性の奮闘コメディーを魅力的に描いている。
チャンシル(カン・マルグム)は、プロデューサーとして長年支えてきた映画監督が急死したことで失業してしまう。気が付けば家も男も子どもも、青春さえも棒に振ってきた。
仕事に自信を持ってきたが職を失った後、頼りにしていた映画関係者から、冷たくあしらわれてしまう。
郊外の山の中腹にある不便で、変わり者の老婆、ポクシル(ユン・ヨジョン)の家の一間を借り、年下の女優、ソフィ(ユン・スンア)の家政婦として働き始めたチャンシルは、そこで年下男性のヨン(ペ・ユラム)に出会う。
カン・マルグムはチャンシルの喜怒哀楽を自然に演じている。再び歩き出す姿を通して、希望と勇気を持つことの意味を再確認させられる。
見どころの一つは、チャンシルに寄り添う人たちの存在だ。チャンシルをつかず離れず見守るポクシルが発する深みのある言葉は、殺伐とした現代社会に生きる私たちの心にも届くだろう。
チャンシルの本音を見抜くかのように登場するレスリー・チャンと名乗る幽霊(キム・ヨンミン)は、チャンシルが悲しかったり落ち込んだ時に現れては励まし、彼女に忘れていた映画に対する初心を思い出させてくれる。
そして、キム監督が1番好きだと語る小津安二郎監督の「東京物語」をはじめ、ウォン・カーウァイ監督作品で、レスリー・チャンらが出演した「欲望の翼」などの懐かしい作品が作中に登場するところにも注目したい。
(2020.12.23 民団新聞)