掲載日 : [2020-03-11] 照会数 : 6341
ウリマル守り抜いたもう一つの独立運動描く…映画「マルモイ」公開へ
[ 映画「マルモイ」ポスター(インターフィルム提供) ]
[ 「マルモイ」のシーンから ©2020 LOTTE ENTERTAIMENT A11 Rights Reserved ]
5月、東京、横浜、大阪皮切りに
植民地統治期の1940年代、日本の「民族精神消滅政策」に抗して韓国初の国語辞典をつくるために奮闘した人たちを描いた韓国映画「マルモイ(ことばあつめ)」(オム・ユナ脚本・監督、135分)が5月、東京、横浜、大阪を皮切りに全国で順次公開される。全国の各学校で朝鮮語の使用と教育が禁止されたなか‘朝鮮人であること‘で心が一つになる物語は「もう一つの独立運動」を思わせる。
解放前の1942~43年、朝鮮語学会会員33人が治安維持法違反に問われ、検挙投獄された「朝鮮語学会事件」をベースにしたフィクション。実際、2人の会員は拷問のため獄死したとされる。日本が「皇民化教育」や「創始改名」を推し進め、朝鮮語を禁止したことは言葉がそれだけ重要だという証左でもある。
3・1独立運動100周年にあたる2019年1月に韓国で公開され、観客300万人近くを動員する「スマッシュヒット」を記録した。
レビューを見ると、「楽しさや笑いもあり、感動もある映画!これはみんなにオススメしたい」「あらためて自分の国の言葉の大事さを考えさせられる。韓国人なら見るべき」「素晴らしい俳優の演技と、韓国語を守ってくれた人々に感謝」といった好意的な評価が並んだ。
一方で一部ながら「事実に忠実であればもっとよかった」「ありえないシーンが多くて共感できなかった」というマイナス評価も見られた。これには「フィクション、娯楽作品」として描いた監督の手腕こそ評価すべきだという声も聞かれる。
この時代の映画でありながら反日的なコメントが少なかったのは「民族の精神を守るために、命がけで朝鮮語辞書を編纂しようとした人たち」に焦点をあてたためだろう。
日本での版権を獲得した株式会社インターフィルム(東京・千代田区)の森田一人宣伝制作課長は韓国から送られてきたサンプルを見て即決した。
「日本人が見ても心温まる映画だと思った。この映画を見逃したら自分は一生後悔するだろうと考えた。歴史を知らない普通の日本人に見てもらうことに意義がある。感動とともに、歴史も一緒に学べる。『やらなければ』という自分の気持ちに素直に従った」と胸の内を語った。
5月22日からシネマート新宿、シネマート心斎橋、横浜のミニシアター「ジャック&ベティ」で先行公開される。
2人の友情物語
‐ あらすじ ‐
京城(日本統治時代のソウルの呼称)が舞台。全国から集めたサトュリ(方言)も吟味したうえで朝鮮語の標準辞典をつくろうとした朝鮮語学会の人々の苦闘を描く。古くから辞典づくりの計画はあったが、朝鮮語が朝鮮人の民族主義の土台になることを恐れた朝鮮総督府の弾圧でことごとくつぶされてきたのだ。非識字者のパンス(ユ・ヘジン)は辞典づくりに情熱を注ぐ出版社社長、ジョンファン(ユン・ゲサン)と出会う。当初こそ反目しあった2人だったが、命がけで困難を乗り越えていく。男たちの友情物語としても見ごたえがあるが、マルモイを行う過程も興味深い。辞典は多くの犠牲者を出しながら解放後にようやく完成する。
(2020.03.11 民団新聞)