掲載日 : [2020-06-26] 照会数 : 9315
【新刊紹介】「まんが・クラスメイトは外国人」
多文化共生を拓く子どもたちの目線で
ヘイトスピーチなど、「多文化共生」の妨げとなっている社会的ないくつかのテーマを選び、子どもたちの目線で自分たちなりの解決策を模索していくストーリーまんが。
主人公は外国につながる子どもたちだ。「ハーフ・ダブル・ミックスルーツ」については一つの考え・価値観で見るのではなく、多様性を肯定しようと呼びかける。
「戦争責任」では「過去など他人事」と考える歴史修正的な立場に立つグループと「自分のこととして考える」グループが論争。「南京大虐殺も関東大震災時の朝鮮人虐殺もなかった」とする意見に「解釈は違っても事実は一つ」と反論する。
「領土問題」は尖閣諸島がテーマ。中国をルーツにもつ女子生徒が対立する主張のはざまで出した結論は「国と国が争っても、私たちは仲良くできるようにしておく」だった。
結論ありきの押し付けではなく、考えるヒントを提示してくれるのがいい。より詳しく知りたい読者には各章末の説明が親切。実際にあったできごとを漫画にしているためか、漫画だからといってあなどれないリアリズムを感じる。
外国をルーツにもつ子どもたちには元気を、一般の読者には重い課題を突きつけてくるかのようだ。1300円プラス税。明石書店(03・5818・1171)。
姉妹編に『多文化共生20の物語』(09年)、『入門編‐はじめて学ぶ多文化共生』(13年)がある。
(2020.06.25 民団新聞)