掲載日 : [2020-07-08] 照会数 : 5090
【新刊紹介】反日韓国という幻想…毎日新聞論説委員 澤田克己

誤解だらけの日韓関係…韓国への「上から目線」批判
韓流関連ショップや韓国料理の店が並ぶ東京・新大久保「コリアンタウン」。平日の昼過ぎでも制服姿の女子中・高校生らしい集団をたくさん見かける。お気に入りのグッズを買い、伸びるチーズが「インスタ映えする」と人気のチーズドッグ「ハットグ」を食べてもお小遣いの範囲内で済む。
本書によれば、小学生や中・高校生向け雑誌の読者アンケートによれば、「東京で知りたい町」として新大久保が不動の1位だった原宿を抜くこともあったそうだ。いまは「第3次韓流ブーム」といわれている。「韓国っぽいというのはカッコいいという意味で使われている」ことも本書で初めて知った。
では中高年はどうか。徳島大の樋口直人准教授が参加したプロジェクトで2017年末実施の7万7000人規模の大規模ネット調査によれば、韓国については「若い方が好意的」「女性のほうが好意的」という明確な結果が出た。
これに対して男性は真逆の結果となった。年齢についても高齢になるほど排外的になったという。ここには学歴や世帯収入は影響していない。
澤田さんは日本の中高年世代に「上から目線」で韓国を見る傾向が残っていると指摘する。確かに50年代後半、韓国の1人あたりの国民所得はわずか100㌦だった。国交正常化後には日本とは比較しようもない弱小国の韓国に配慮し、韓国の経済発展を助けてきた。バブル崩壊前までは少しくらい無茶を言われても政治経済的に受け入れる余裕があった。
しかし、元徴用工訴訟に対する大法院判決を契機に、関係が悪化すると、韓国側の動きが許しがたく見えるようだ。澤田さんは「冷戦終結から30年。日韓関係が根本的に変わってきていること。お互いが変化した関係に適応できず、政治的な摩擦が激化している」「韓国の国力が強くなったことを直視べきだ」と述べ、「上から目線」の見直しを迫る。なぜなら、韓国は日本にとってこれからもより重要な国になるからだ。
一方、韓国の日本を見る目も「ちょっと行き過ぎている」と1日、日韓記者・市民セミナー(KJプロジェクト主催)の講演で忠告していた。 「韓国は急速に追いついたので、日本を見る目が高揚感にあふれている。でも、適正なところまで降りてきてもいい。日本はアップデートしてもらう」。
1200円(税別)、毎日新聞出版(03・6265・6941)。
(2020.07.08 民団新聞)