掲載日 : [2021-10-13] 照会数 : 4406
どん底からはいあがる脱北女性…映画「ファイター、北からの挑戦者」
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波乱万丈の人生あきらめず闘う
韓国映画「ファイター、北からの挑戦者」がロードショー公開される。
北韓からソウルに逃れてきた若き女性が韓国で生活に適応しながら、ボクシングを通じて自らの人生を切り拓いていく姿を描く。無関心と偏見が根強いなか、低賃金に甘んじながら社会の底辺で働く脱北者へのエールといえる。
主人公リ・ジナは雑用係としてボクシングジムで働く。館長はいち早くジナの才能を見出し、スパーリングを命じる。相手は女性練習生のユンソ。余裕の表情でリングに上がったユンソを、ジナは渾身の一撃でマットに沈める。ジナは北韓時代に軍隊でボクシングを経験していたのだ。
ジナのプロデビューまでを縦糸に、家族を捨てて先に韓国に逃れた母親との確執、コーチ役のテスとの恋愛を織り交ぜ、物語に深みを持たせた。ジナ役を演じたイム・ソンミが「思考を明晰に表現する静謐な集中力」で存在感を発揮している。
ユン・ジェホ監督はタイトルについて「ジナの波乱万丈の人生と、あきらめないことから生まれる尊厳を表現している」と話す。ここにはフランスという異国で希望を実現するために闘った自らの体験が生きている。
釜山国際映画祭で主演女優賞とNETPAC賞をW受賞。11月12日から東京のヒューマントラストシネマ有楽町と新宿武蔵野館、大阪のテアトル梅田ほかで。
(2021.10.13 民団新聞)