18日から7日間にわたって開かれた仁川市での韓国国体。来年のアジア大会リハーサルも兼ねていることもあり、新設された競技場も多い。事実上のこけら落としとなった会場の多くは最先端技術を駆使している。
金メダリスト、安沙好が出場した柔道では、ロンドン五輪でも話題になった、「ジュリー」によるビデオ判定が相次いだ。
技を決め、勝利を確信したと思ったら、ビデオ判定で二転三転。中には「反則負け」という残酷な結末も。秒殺もある柔道の試合時間はわずか4〜5分。何度も何度も繰り返し確認するこのビデオ判定の時間は観戦者でさえ長く感じる。
ほほをたたきながら「ただ、投げるだけです」と試合に臨む安は、明快な一本勝ちを続けてくれたから、このヤキモキ感には遭遇せずに済んだ。
在日同胞の金メダルは過去最多の17個。内訳を見ると女子が12個で、5個の男子を圧倒した。
圧巻は1人で5個を獲得したボウリングの柳真裕実選手。現地では「怪物くん」のあだ名がついた。最大の見せ場は同競技5日目に行われた「マスターズ」。4日間の16ゲーム合計点で上位8人による総合個人王者決定戦だ。
最後まで優勝を争ったのが同じ在日同胞で昨年の4冠王、金星伽選手。2人の一騎打ちとなり、柳が22点差を追いかける最終ゲーム。決着がついたのは最後の投球。1ピン差の逆転勝利だ。こうなると、試合時間は長くても得点や記録で判断できる競技のほうが楽しい。
「きっと、6月にこの世を去った母が見守ってくれたんです」とすがすがしい笑顔で語る「怪物くん」。仁川では2人の強い女子に魅せられた。(Z)
(2013.10.30 民団新聞)