第18代大統領選挙(12月19日投開票)に向けて選挙戦が展開されるなか、インターネット選挙運動の全面的解禁、在外国民選挙人の初参加など、様変わりする韓国の選挙状況を米国留学経験した選挙ボランティアらが注目している。
インターネットによる運動の全面的解禁
在外国民の参加
女性大統領候補の登場
今年の韓国は、国会議員選挙と大統領選挙が同年に実施される選挙イヤー。在外国民の初参加で有権者は4052万人に達する。そのようななか、大統領選に出馬したセヌリ党の朴槿恵、民主統合党の文在寅、無所属の安哲秀の3候補を中心に選挙戦が展開されている。
今回の変数要因のひとつとして注目されているのが、インターネットによる選挙運動。韓国ではこれまで、投票日の180日前からネット上での選挙運動が事実上禁じられていた。ところが憲法裁判所は昨年12月、「規制は有権者の政治的表現の自由を侵害する」との決定を出し、フェイスブックやツイッターといったインターネットのSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)を使った選挙運動や候補者の応援が自由にできるようになった。
候補者や支援者らがウェブサイトやブログ、SNSで支援を訴えたり、別の候補を批判したりできる。投票日に、ツイッターなどで投票を呼びかけることも認めた。
判決の理由は、「政治的な表現と選挙運動は、自由を原則に、禁止を例外にしなければならない。インターネットは誰でも容易に接近できる媒体で、利用費用が安く、選挙運動の費用を画期的に下げられる政治空間であるため、インターネット上の選挙運動を制限するのは適切でない」。
憲法裁判所が「規制は違憲」と指摘したのにともない、今年1月に中央選挙管理委員会がSNSの解禁を決定した。
一方、様変わりする韓国の選挙運動について、米国留学の体験をもち、各候補を支えるボランティアたちは、韓国と米国の違いについて関心を寄せる。米国に比べて韓国は政策論争に欠け、政策よりも相手への攻撃が中心になりがちだという。米国では選挙遊説の過程で政策討論会が最も大きなイベント。候補者が子どもの教育や勤労者の権利向上などさまざまな政策を出すが、韓国では政策よりも候補者の歴史認識のようなものが重く扱われる傾向にあり、国民自らが各候補の政策を理解しようとする努力が足りないと指摘する。
ただし、イシュー(争点)一つで各候補に対する支持率が大きく揺れ動く点は、とてもダイナミックだとも語る。また、今回の韓国大統領選挙で女性候補が初めて登場したこと自体に意味があり、韓国政治の成長を示すものだと評価した。
候補者の正式登録申請は11月25、26の両日。選挙運動期間は翌27日から投票前日の12月18日までとなっている。公式選挙運動期間前の人的動員や、選挙運動ができる人が制限されているため、米国の選挙法より厳しいといわれる。
(2012.10.12 民団新聞)