在日同胞2世で美術品コレクターの河正雄さん(72)=埼玉県川口市=が韓日両国での半世紀近いメセナ(文化擁護)活動を評価され10月17日、韓国政府から宝冠文化勲章を受章した。
画家志望だった河さんは24歳のとき、在日同胞の全和鳳さんの「弥勒菩薩」と出会い、衝撃を受けて在日同胞美術作品を中心にコレクションを始めた。当時、在日作品への評価は韓日両国とも低かったが、河さんには「在日の生活をそのまま写し出した記録遺産として、将来的にも貴重になる」との確信があったという。
河さんが今日まで生涯をかけて集めた美術品のコレクションは、欧米での収集作品も含め約7000点、資料や写真なども含めれば1万点を超すという。そのほとんどを韓国と日本の美術館、合わせて10カ所に寄贈してきた。なかでも自らが名誉館長を務める光州市立美術館は2200点にのぼる。
河さんは10月29日、韓国文化院が東京・新宿区内のホテルで主催した祝賀会席上、「私と韓国美術の出会い」と題して記念講演を行った。会場は河さんと親交のある130人で埋まった。
(2012.11.7 民団新聞)