【大阪】なにわの津(現在の大阪)を舞台に古代の東アジア交流を雅やかに再現する「四天王寺ワッソ」(同実行委員会主催)の本祭が11月4日に迫った。当時そのままの古代衣裳を身にまとい、楽器を演奏しながら行進するパレードはまつりのハイライトだ。今年は大学生や高校生にまじって初めて中学生が加わる。出演が決まった門真市立第4中学校2年生の練習風景に密着した。
35人で楽隊、行進
練習に加わったのは2年5組の35人。韓国舞踊「柳会」から指導者を迎え、22日まで3回の合同練習を行った。
先頭はナガク(ほら貝の先端に穴を開けた楽器)とナバル(ラッパの形をした管楽器)。その後ろを太平簫(テピョンソ)、プク、チャンゴ、パラ、ケンガリの楽隊が続く。初めて触る楽器に最初は全員、戸惑いを隠せなかった。
担任の吉田紀幸先生は、「最初のうちは『わからへん』『わからへん』というばかり。もうめちゃくちゃな演奏でした」と振り返った。柳会の指導者が厳しく叱咤しても、子どもたちは心を閉ざし、素直に練習に取り組むことができなかった。
しかし、取り組みを進めていくと、「文化祭・本祭を成功させてやる」という意欲がみなぎってきた。間もなくして、ナガクと太平簫を担当する生徒が「音が出るようになった!」と吉田先生のもとに駆け寄ってきた。また、他の楽器を担当する生徒もリズムを取りながら演奏できるようになっていった。できたことで生徒のやる気が向上した。自信に満ちた表情も見られるようになった。
校舎の渡り廊下を使って1時間、何度も行進を繰り返した。パレード時間は約15分と短い。副担任がリズムを取りながら「速く歩きすぎないように」と注意する。学校中を揺るがす音の迫力には見学の生徒も「何や!」とびっくりした表情。行進練習を終えても教室で遅くまで音合わせを繰り返した。
民団大阪でも
大阪韓国人会館では一般公募の参加者10数人が練習に励んでいる。
清水秀美さん(甲子園学院高校3年)と浜谷冴奈さん(大阪府立松原高校2年)がチャンゴに触れたのは実はこれが初めて。「難しいけど、楽しい」と、笑顔を見せた。
丸田弘治さん(57、大阪太鼓普及会会長)は常連参加者の1人。「韓国のリズムは日本と似ているようで違う。この独特のリズムに魅了されて参加している」という。
まつりは90年、在日韓国人系の信用組合関西興銀(当時)が中心となって創設した。同組合が破綻してから一時中断したが、民団大阪も発起人に加わったNPO法人大阪ワッソ文化交流協会が引き継いでいる。
(2012.10.24 民団新聞)