各地民団、説明会で注意喚起
1947年から60年以上続いてきた外国人登録法がなくなり、7月9日から外国人管理制度が抜本的に変わる。その内容は外国人住民の利便性より、管理を優先する内容だ。特別永住者といえども「うっかり」していると、ささいな手続きミスでとんでもない事態に巻き込まれる可能性もある。民団は全国各地で説明会を開き、新しい在留管理制度の熟知に努めている。各地の説明会で提起された懸念事項をまとめた。
更新遅延に刑事罰
現行の外国人登録証は確認(切替)時期が近づくと、自治体が個別に通知してきた。しかし、新制度が施行されると、市町村は登録原票を速やかに法務省に返し、国の一元管理下に置かれる。市町村は住民基本台帳で住所だけを記録するだけとなる。
東京の杉並区役所の担当者は、「外登証の切り替え時期は原票に書いてあったので、手紙を差し上げることができた。でも、原票の閉鎖でそれも難しくなる。転出や転入もあるのに、自治体がすべての外国人住民の切り替え時期を把握するというのは現実性が薄い」と話す。
特別永住者証明書の「更新遅延」は1年以下の懲役、または20万円以下の罰金と規定されている。21日、韓国中央会館での説明会席上、ある参加者は、「忙しくて切り替え時期を1,2日忘れることは誰でもありうる。厳しい罰則を設けている以上、うっかりミスでその人の人生が左右されることのないようにしてほしい」と要望すると、会場に賛同の拍手が広がった。
これに対して法務省の担当者は、「永住・定住者には、たとえはがき1枚でも、なにかしらの更新通知ができないか、真剣に検討する」と約束した。法務省当局がこの問題に言及したのはこれが初めて。
特別永住者であれば、現在の「外登証」は改定法施行日の7月9日以降も一定期間は「特別永住者証明書」として扱われる。「特別永住者証明書」への切り替えは、外登証の次回確認(切替)が15年7月8日以前であれば、15年7月8日までに。15年7月9日以降であれば、その外登証の次回確認(切替)申請期間の初日(誕生日)まで。
なお、新規交付は原則、16歳になる6カ月前から誕生日の前日まで。更新は7年ごと。
仮住民票の確認を
各自治体は5月7日を基準日に、外国人登録原票に記載された自宅住所に仮住民票を発行している。現在の外国人登録の住所と実際の居住地が違っていれば、仮住民票は最寄りの市区町村に戻ってしまう。いまだに仮住民票が届いていないときは注意が必要だ。
韓国中央会館での説明会に同席した民団中央本部「改正入管法プロジェクトチーム」の崔聖植座長は、「登録原票記載の住所に居住実態がないとなれば、市区町村は仮住民票を消してしまう。さらに入管当局から呼び出しを受け、事情聴取されることもありうる」と注意を喚起している。
居住地の変更はこれまで、新しい居住地の自治体に届けるだけだった。7月9日以降は前の居住地の役場で転出証明書をもらい、新しい居住地の役場に転入届を提出する。
そのとき、「特別永住者証明書」「在留カード」に記載されている居住地も変更する。届出は14日以内。遅延には刑事罰が付く。
崔座長は、「新制度へ移行すると、楽になる部分と重たくなる部分が混在することになる。特別永住者証明書や在留カードを他人に貸したりして万が一悪用されたりすれば、罰則の対象となる」と警告している。
「原票」保存が安心
新制度になって自治体から発行される外国人住民票には「登録基準地」(旧、本籍地)が記載されない。この「登録基準地」が分かっていないと、今後の相続や国際結婚、そのほかのため、領事館などで各証明書を取得するのが非常に困難になるかもしれない。
また、車の廃車などの際には外国人住民票に過去の居住履歴などが表記されないため、なにかと不都合が出てきそうだ。
民団神奈川は15日、各支部の実務者を集めた説明会で、「団員さんにはあらかじめ、市区町村の窓口で外国人登録原票記載事項証明書の全部事項証明書を取ってもらうよう周知していく必要がある」と強調した。
新制度への移行後は、法務省に出向き、「保有個人情報開示請求書」を提出して入手することになる。
(2012.6.27 民団新聞)