掲載日 : [2019-06-17] 照会数 : 17999
<U20W杯>韓国、未来の可能性実感した準優勝…
[ FIFA主催大会初の準優勝に輝いた韓国U-20イレブン ] [ 最優秀賞の「ゴールデンボール賞」に選ばれた李康仁(左) ] [ 韓国サッカーの未来の「原石」を発掘する大会となった ]
未来の「原石」を発掘
鄭正容監督率いる韓国U-20男子代表は16日(以下日本時間)ポーランド・ウッチのウィゼウスタジアムで行われたウクライナとの2019FIFA、U-20ワールドカップ(W杯)の決勝戦で1-3で惜しくも負けた。韓国男子サッカーで初めてFIFA主催大会の決勝に進んだU-20韓国代表は、先制点を決めるなど、しっかりと戦ったが、ウクライナの壁を超えられなかった。しかし、韓国にとって準優勝は、未来の「原石」を発掘した価値ある快挙だ。
韓国は攻撃的な3-5-2のフォーメーションで臨んだ。韓国は前半5分に先制ゴールを決め、ウクライナを制圧した。前半2分、金セユンが李康仁のパスを受け、ペナルティボックスの右側から入り込んだところをウクライナの守備に倒され、VARでの確認でPKを獲得。李康仁が決めて、早々に先制する。
先制点を奪ったことで韓国は雰囲気を引き上げた。逆にウクライナは失点の影響でパスミスが続き、集中力を失っていた。前半中盤まで、韓国は大きなピンチはなく、落ち着いた試合運びを見せたが、攻守の切り替え時に決定的なチャンスを作れなかった。
試合が動いたのは前半34分だった。ゴール正面の浅い位置でウクライナにFKを与え、ゴール前での混戦から最後はヴラディスラヴ・スプリアハが押し込まれ追いつかれた。
このゴールで、ウクライナは勢いを上げ、韓国は数度にわたってピンチを迎えたが、粘り強く耐えた。前半終了間際の42分、呉セフンが中盤でパスを受け、ゴール前突破を試みたが、守備に阻まれる。続いて金セユンが守りからの切り替え後、ミドルシュートを試みるが、ゴールの上に外れた。
後半に入って鄭監督は金セユンに代えて厳ウォンサン(20・光州FC)を投入。そして金ヒョヌを守備的MFに上げ、4バックの守備ラインに変更し、追加点を狙った。これによって韓国は攻撃力で相手を圧迫した。
しかし後半8分、右サイドからエフィム・コノプリヤがドリブルで仕掛けると、後ろからDFが突いたボールがスプリアハの下に。エリア内から冷静に左へ流し込み、逆転された。4バックに変えた守備が整っていない状況で、裏のスペースを許す結果となった。
鄭監督は後半18分チョ・ヨンウクに代えてチョン・セジン(水原三星)を投入し雰囲気を変えた。李康仁が左サイドから鋭いクロスを上げ厳ウォンサンがゴール前で頭でシュートするもゴールはつながらなかった。
さらに後半24分、FKを得た韓国は、金ヒョヌがセカンドボールを維持しながらシュートするもゴールネットを揺らすことはできなかった。ここで得たCKから李ジェイクがヘディングシュートを試みたが、相手GKがスーパーセーブ。
韓国は後半35分、最後の交代カードで崔ジュンに代わってDFの李ギュヒョク(20・済州ユナイテッド)投入。この後、試合は体力勝負となったが、韓国は高さを生かして反撃を試みるが、試合終了間際の後半44分、カウンターからヘオルヒーイ・ツィタイシュヴィリに試合を決める3点目を許し万事休す。最終的に1-3で惜しくも敗れた。
優勝こそ逸したものの、韓国男子サッカーがFIFA主催大会の決勝に進出したのは今回が初めてだ。韓国男子サッカー史上初であり、アジア諸国としても初記録となる。ちなみに韓国女子サッカーは、2010年U-17女子代表がFIFAのU-17女子ワールドカップで優勝まで上り詰めた。
彼らがポーランドにやって来た時、誰もここまで来られるとは期待していなかった。しかし、選手たちは物怖じせず、一試合一試合を楽しみながら大きな山を越えながら自信を重ねた。
韓国は「死の組」と呼ばれたF組(韓国、ポルトガル、南アフリカ、アルゼンチン)を2位で突破し16強入りした。決勝トーナメントの初戦は、「ライバル」日本を破ってベスト8に上がった。準々決勝ではセネガルとPK戦までもつれ込む死闘の末、36年ぶりにベスト4進出を果たした。
日本、セネガルともに死闘の末に上がってきたこともあり、選手たちにとって、エクアドルと準決勝は不安を持たずに臨んだ。90分間、のびのびと自信あふれるプレーを繰り広げ、「夢の舞台」である決勝まで進んだことは韓国サッカー界にとっても大きな試金石となった。
最優秀選手に李康仁
韓国代表最年少の李康仁は、今大会2ゴール4アシストを記録、韓国の男子選手としては初めてFIFA主催大会で最優秀選手に贈られる「ゴールデンボール」に選ばれた。過去22大会で、優勝チームではなく2位のチームの選手がゴールデンボールを贈られたのは李康仁が3人目だ。当時18歳と8日だったメッシに続ぐ2番目(18歳3カ月)の最年少受賞者となった。李康仁は「僕個人がもらったのではなく、『チーム』に贈られたゴールデンボールだ」と語った。