7月9日から新しい在留管理制度が施行されるのを前に日本法務省と総務省の担当者が20日、韓国中央会館を訪れ、全国の民団事務局長を前に新しい制度の概要について説明した。外国人に対する管理は全般的に一層強化されるが、法務省側は歴史的な背景を持つ永住・定住外国人については今後とも柔軟な対応を示唆した。それでも、外国人登録制度からの変更点には疑問点も多く、質問は後を絶えず、質疑応答は予定時間を大幅にオーバーした。
柔軟な対応 示唆 法務省
改定入管特例法によれば、特別永住者は他の在留資格の外国人と切り離された「別扱いの管理」となる。それでも、罰則制度が緩和されたわけではない。
特別永住者証明書の提示義務に違反すれば、1年以下の懲役または20万円以下の罰金。住居地を変わったときの届け出が遅れれば、行政罰に加えて刑事罰も可能だ。説明を聞き終えるや、全国の事務局長からは不満の声が相次いだ。
特別永住者の提示義務について法務省の担当者は、「官憲に提示を求められ、そのとき持っていないからといって別に責められるものではない」と強調した。基本は保管場所まで同行してもらい、提示すれば済むこと。保管場所から遠く離れた出張先や、仕事に行く途中で急いでいるようなときには、「ケースバイケース」での判断となる。
一方、特別永住者を対象に出国・入国が2年以内(中長期在留者であれば1年)ならば「再入国許可」を不要とした「見なし再入国」の新設については、「一歩前進」と評価する声もある。利用にあたっては出国時に特別永住者証明書を示し、その旨をEDカードに記入するだけでいい。うっかり特別永住者証明書を持参するのを忘れたときは、入国審査官が事情を聞いて個別に判断するという。
ただし、2年の期限内に再入国しなければ特別永住者の地位を失うとの説明を聞くと、「それはおかしい」と怒りの声が上がった。これに対して法務省担当官は、「特別永住者の地位を奪われるとしても、慎重な手続きをとる」と説明した。
法務省と総務省の担当官による説明会は質疑応答も含めて当初1時間の予定だったが、団員と接している事務局長たちだけに質問が相次ぎ、1時間近く延長された。
民団では各事務局長からあがった疑問点を今後、「入管法プロジェクトチーム」で集約し、近く関係部署に要望していくことにした。
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団員への不利益 懸念 質疑応答
説明会で出された事務局長からの主な質問と、法務省担当官からの回答は次のとおり。
−−特別永住者証明書の更新時期を案内しないのはなぜか。外登のときは自治体から案内がきた
「入管からは通知しない。十分な広報に努め、それでも通知が必要なのかどうかはこれから見極めたい」
−−特別永住者証明書の英字表記は母国語による読み方か、それとも日本語読みなのか
「旅券どおりの表記とする」
−−旅券を持たない人の英字表記はどうするのか
「基本的にはアルファベットだが、自分の名前をどう表記するのか分からない人には漢字表記だけでも在留カードを出せる」
−−通称名で銀行口座を開設している人は、通称名のない在留カードでは本人確認に支障をきたすのではないか
「在留カードに記載する事項は必要かつ、最小限だ。通称名の記載は原則的に認められない」
−−新制度施行後、外国人登録原票の閲覧は可能か。可能であれば、それは市役所か入管なのか
「新制度施行の7月9日以降は法務省で所管する。閲覧請求は申請すればできる」
−−「見なし再入国」で出国する際、提示する特別永住者証明書はコピーでも可能か
「コピーは認められない」
(2012.4.25 民団新聞)