2010年11月以来約3年ぶりの南北離散家族対面行事がきょう25日から30日までの日程で北韓・金剛山で実施されるはずだった。だが、直前の21日、北韓の対南機関である祖国平和統一委員会が代弁人声明を出し、対面行事の延期を突然発表した。今回の対面は、8月23日の南北赤十字実務協議で合意され、双方の対象者名簿(韓国側96人、北韓側100人)も交換し、対象者は6・25韓国戦争で生き別れとなった家族・親戚との60年ぶりの対面に思いを馳せていた。それにもかかわらず、北韓は、またも最優先的に解決されなければならない、南北間最大の人道的問題である離散家族再会問題を政治的カードとして悪用した。 北韓「祖国平和統一委員会」の代弁人声明は、韓国政府が南北対話を同族対決に悪用しているとした上で、「対話と交渉を進めることができる正常な雰囲気が醸成されるまで離散家族対面を延期する」と一方的に通告。「北南関係が南朝鮮保守輩党の無分別で悪辣な対決騒動により、再び見過ごすことのできない危機に向かっている」と強弁している。
さらに統合進歩党の李石基議員の内乱陰謀疑惑事件を取り上げ、「南北間の和解と団結と統一を主張する進歩民主関係者を容共従北に追いやって弾圧する魔女狩り劇」とし、こうした「殺伐とした雰囲気の中で対話と関係発展は期待できない」と主張した。
これに対して韓国政府は同日、離散家族対面行事を一方的に延期するとの通告を強く非難し、同事業の速やかな実施に応じるよう要求した。
金義道統一部代弁人は声明を発表し、「離散家族の対面を4日後に控え、北側が一方的に実施を延期したことは極めて遺憾だ」と表明。離散家族対面の延期は「肉親との再会を待ちわびていた離散家族と国民の胸にくぎを刺す反人倫的行為であり、非難されて当然だ」と強調した。
金代弁人は「北側が離散家族対面を政治的理由をあげて延期したことは、いかなる理由でも正当化できない」。李石基議員の内乱陰謀疑惑事件を延期理由の一つに挙げたことについて、「反国家的行為に対して適法な調査が行われている事件までも結びつける北側の意図を問わざるを得ない」と言及した。
さらに「政府はその間、民間団体、WHO(世界保健機関)など国際機構を通じて栄養食、結核薬など幼児および脆弱階層のために180億ウォン相当の人道的支援を、政治的状況と関係なく続けてきた。離散家族対面準備過程でも円滑な行事進行のために最善を尽くしてきたことを北側もよく知っている」と強調。北韓に対して「言葉だけで民族団結を強調しわが国民を愚弄するのではなく、民族の痛みと傷を実質的に治癒することができるよう、離散家族対面行事に速やかに応じなければならない」と促した。
北側は、これまでも南北間で合意した対面行事を、さまざまな口実を設け一方的に延期・中止させたことが何度かあった。
離散家族の苦痛を少しでも緩和するために対面行事の拡大および定例化や対面場所を金剛山地域以外にも設けようとの韓国側の提案にも反対してきた。また、対面行事実施の前提条件として、コメや肥料などの大量支援を要求し、結局対面行事を延期・霧散させたこともある。
(2013.9.25 民団新聞)