受講生40人猛練習
婦人会東京本部(河貴明会長)の主宰する「国際伝統文化教室」が、東京・港区の韓国中央会館地下1階「MINDANスタジオ」で開講してから5日で2カ月が経過した。会員は60から80歳代まで約40人。早くも来年6月に韓国文化院で予定している「発表会」に向けての練習が始まっている。
民族の魂と恨を追求 民謡
基本修得へ反復練習 舞踊
「さあ、腰をまっすぐにして。息を吐いてー。次は空気をお腹に入れますよー」。民謡担当の講師、金貞姫さんのきびきびしたかけ声とともに、姿勢を整えた受講生たちが発生練習を繰り返す。
「先週よりもだめですね、忘れましたか」と金さんがすかさず声をかける。リズムの取り方、発音に至るまで指導は細やかだ。
「韓国民謡は誰もが聴いているが、歌うのは難しい」と金さんは話す。最も重要なのは韓国人の精神的支柱である「オル(魂)」と、韓民族特有の情緒を表す「恨」が出なければならないと言う。
「世界のどこも真似できない、心から湧き出る韓国の精神がないと、韓国の民謡は歌えない」。
金さんは韓国重要無形文化財第57号京畿民謡保有者、李春羲さん(人間国宝)に弟子入り。30年以上経った現在も「死ぬまで勉強」と自己研鑽を怠らない。
講座を設けるとき、受講生たちに韓国の精神を伝えたいと思ったという。民謡には民族の感情を揺さぶる内容の歌詞も多い。一つひとつの歌詞を理解し、気持ちを込めながら歌うことで、「5年、10年、20年経ったら『恨』が出てくる」と話す。
受講生たちは金さんの気持ちに少しでも近ずこうと、「トラジ」や「アリラン」などの課題曲を何度も練習する。金さんは「いちばん簡単な歌がいちばん難しい。発音ははっきりしないと味が出ません」と、次々に指摘する。最後は2グループに分かれて交互に歌った。歌い終わると、「ノムチャラッター」(よくできました)という金さんの声が響いた。
舞踊は基本のステップを中心に練習している。「ハナ・トゥル・セ・ネ。人の動きを見るのは勉強ですよ」と、講師の崔鍾淑さん。20分が過ぎるころには、受講生たちの額から汗がにじみ出る。中には暑いからとシャツを脱ぐ女性も。
崔さんは、「来年の6月に向かってみなさんが一生懸命に練習に励む姿を見ていると、胸がいっぱいになります」と話す。
金月奉さん(84、江東区)は、「昔に帰ったみたいで楽しい。一生懸命、若い人についていきたい」と生き生きしている。金さんと2人でやって来る 幸美さん(62、江東区)も、「3回、練習したら体が楽になった」と大喜びだった。
打楽器を指導する李貞恵さんは、「チャンゴで基本のリズムさえつかめば、プク、チン、ケンガリもたたけるようになる」と太鼓判を押す。「来年の6月までには4つとも叩けるようになるでしょう。皆さん熱心で、教えがいがある」と笑顔を見せた。
河会長は、ゆくゆくは仮称「同胞文化芸術団」の誕生を思い描いている。「新年会でも忘年会でもいい。一生懸命練習している会員に来年の6月を待たず、どんどん発表の機会を与えてあげたい。組織の活性化にも結びつくはず」と話す。
現在、会員を募集中。
(2013.10.9 民団新聞)