「新定住者への対応も課題」
民団幹部に義務づけられている「在日同胞リーダー育成スクール(中央組織学院)」の第234期が19、20日の両日、韓国中央会館(東京・港区)で開かれ、中央本部職員と13地方本部のほか、韓商連や婦人会幹部ら45人が入所した。受講生を統率する学生長は民団島根県本部の金吾男団長が務めた。2日間の研修で在日同胞社会と民団の72年の歴史、今年度の主要事業と当面課題について認識を共有し、分任討議(班別討論)では団員宅への戸別訪問実施が組織の基本であることを再認識した。
1977年から開始した中央組織学院は、民団の基本理念や組織活動に関する理論と実務、傘下団体を含む組織幹部の養成を目的にしている。今期の45人受講によって修了生は累計7003人となった。
初日は民団の創団から今日までの歴史を映像で振り返り、今年度全国的に推進する同胞宅戸別訪問運動について周知徹底した。2日目は民団組織の現況や組織運営を学んだ。
2日目の特別講義(特講)で中央本部の呂健二団長は、自身が青年会や青年商工会結成に関わった経緯と、地方参政権運動で民団組織の一線で活動する契機になったと述べた。「在日同胞への差別扇動を封じる『ヘイトスピーチ対策法』は、民団の運動がなければ成立しなかった。在日外国人の運動が法制定をもたらした日本初のケースだ。少子高齢化の日本は今後移民を受け入れざるを得ず、在日外国人がこの国に社会貢献できる担保が地方参政権だ」と強調した。
受講者の意見を民団活動に反映させる分任討議は、3班に分かれて「私が組織のトップになったら」をテーマに討論に集中した。
1班(金富雄研究長=東京・渋谷支部副議長)は、今後も増加が予想される新定住者への積極的なアプローチが喫緊の課題だとまとめた。
2班(金保成研究長=東京・足立支部副議長)は、健全財政と人材育成を図りながら、団員の意識改革を進めるために、民団会館の利用と団員宅への戸別訪問が重要だと結論づけた。
3班(許幸雄研究長=神奈川・横浜支部副議長)は、同胞を集め、定着させ、育てる民団にしていくことで一致した。
「寝食共にし同胞愛」
研修後の意見交換では、「世代も育った環境も違う老若男女が全国から集まり、寝食をともにして民団の将来を考えたのは有意義だ」「新定住者として日本社会で肩身の狭い思いをすることもあるが、民団に集まると同胞愛を感じる」「私たち次世代のために井戸を掘って水を飲ませてくれた在日1世に改めて感謝する」などの率直な感想が聞かれた。受講者は最後にそれぞれの居住地域で戸別訪問を実施すると決意を固めた。
(2018.05.30 民団新聞)