掲載日 : [2018-08-15] 照会数 : 10309
「平和な韓半島」願う…光復73周年中央団長慶祝辞
在日同胞の生活を守る…韓日友好親善に一層努力
はじめに、西日本豪雨により犠牲となられた方々に深く哀悼の意を表します。また、被災された方々とご家族・関係者の皆様に心よりお見舞い申し上げます。
親愛なる同胞の皆さん。
過酷な植民地支配から解放されて、73年目となる8月15日を迎えました。73年前、先輩の皆さんが味わった解放の喜びと、解放を見ることなく犠牲になられた諸先輩の願いを、私たちは今日この場において共に思い起こしたいと思います。
「三つの土台」を守る
今年、民団は創団72年になります。
貧困と苦難の中で私たちの先輩が努力し築いてきた在日同胞社会、その中心的役割を果たしてきた民団72年の歴史は「山あり谷あり」の険しい道のりを生き抜いてきた証しであり、深い感慨を禁じえません。
私自身、民団活動も50年になります。私は、「三つの土台」を守ることを決意しました。一つは在日同胞の生活を守ること、二つ目は韓日友好を守ること、そして、自由民主主義の祖国を守ることです。
今年は大韓民国政府が樹立されて70年目を迎えました。
祖国が解放された喜びも束の間、祖国は分断され、民族相残の6・25戦争の過酷な悲劇が3年続き、国土は荒廃しました。その後の韓国の復興と今日に至る発展に、私たち在日同胞は最大限の寄与をしてきました。
親愛なる同胞の皆さん。
去る4月27日、11年ぶりとなる第3回南北首脳会談が分断の象徴である板門店で開催されました。両首脳が軍事境界線で握手し、韓国側の「平和の家」で会談を行い、韓半島の平和と繁栄、統一のための「板門店宣言」が共同発表されました。
私たち在日同胞は、南北関係の歴史的な改善と融和につながる「終戦宣言」に合意した首脳会談を歓迎しました。北韓が非核化し、民主化する大きな好機であり転換点であります。
韓半島で戦争は二度と起こってはならないというのが私たちの強い思いであります。南北間の対話と交流を通じて、あらゆる問題が平和裡に解決され、名実共に「平和の時代」が到来することを願ってやみません。
また去る6月12日、世界が注目する中、米朝首脳会談がシンガポールで開催されました。長い間、敵対関係にあった北韓と米国の首脳が会談を持ったのは史上初めてであります。
北は非核化を果たせ
首脳会談の結果、両首脳は共同合意文書に署名し、北韓は、「完全な非核化のために努力する」ことを約束しました。
私たちは、今後、北韓が完全で検証可能かつ不可逆的な非核化が早期に実現し、米国との対話と関係改善を進め、6・25戦争の「終戦」を宣言することを願っています。
親愛なる同胞の皆さん。
民団は日本に生活基盤を置く在日同胞の代表団体として、自由と民主主義の原則にのっとり、地方参政権運動をはじめとする各種権益運動を進め、日本社会との友好と共生社会実現のための運動を展開してきました。
私はこの場を借りて朝総連の皆さんに訴えたいと思います。
北韓の核・ミサイル問題、日本人拉致問題で朝総連がこれまで取ってきた姿勢について、朝総連自らが在日同胞社会や日本社会の理解を得られるよう行動するよう訴えます。
また、「地上の楽園」と宣伝し北送された同胞9万3千人の生死確認と自由往来を朝総連は責任をもって北韓に求めるよう訴えます。脱北者に対しても同じ同胞の立場から人道的な支援をすべきであります。
大きく育つ次世代
親愛なる同胞の皆さん。
民団は現在、全国2万世帯戸別訪問活動を展開しています。災害時や緊急時にすぐに連絡が取りあえるネットワークを整備するためです。先般も西日本で豪雨による大災害がありました。そのような時にすぐに安否の確認や救援活動ができる連絡網が必須であります。
皆さん、次世代育成事業に力を注いで行きましょう。今年10回目を迎えた民団オリニジャンボリーは、スタッフを含めて440人が参加してソウルで開催されました。この17年で4000人以上のオリニとリーダーたちがこの事業に参加し大きく成長してきました。
今回、何よりも喜ばしいことは、過去に参加したオリニがリーダーとして参加していることです。
また次世代サマースクールには300人の中高・大学生が参加しています。
韓日友好さらに力を
皆さん、韓日友好に一層力を入れて行きましょう。世界記憶遺産となった朝鮮通信使を韓日友好増進のモデルとして活かし、民団が新たな「通信使」の役割を担っていけるよう、私たちの「民団力」を高めていきましょう。
皆さん、私たちの生活権を守り、偏見と差別をなくすためヘイトスピーチの根絶に向け総力を傾けて行きましょう。明日からジュネーブで始まる国連人権差別撤廃委員会に、民団の人権擁護委員会が要望活動を行います。
あわせて地域住民としての権利である地方参政権付与の要望も行い、「共生社会」の実現に向けて一層力を注いで参ります。
親愛なる同胞の皆さん。
私は中央団長として、同胞の生活と権利を守り、韓日友好と民団の発展のため先頭に立って歩んで参ります。本日、第73周年目を迎えた光復節を契機に、在日同胞社会と民団がますます発展・飛躍し、祖国と日本社会に寄与できる基盤を確固なものにしていくことを皆様とともに誓いながら、慶祝辞に代えさせていただきます。
(2018.08.15 民団新聞)