掲載日 : [2018-08-29] 照会数 : 10437
国連に委員を派遣…民団人権委 差別撤廃審査で
[ 差別実態を審査する国連人権高等弁務官事務所(ジュネーブ) ]
民団中央本部人権擁護委員会(李根茁委員長)は、16日と17日に行われた国連人種差別撤廃委員会による日本政府審査に際し、当事者として同委員会に正しい情報を提供するために委員3人をジュネーブに派遣した。
同委員会の審査は事前に各国政府が提出する報告書をもとに、18人の審査委員と当該国代表団との間で行われる。これに対して、各国のNGОはその報告書の問題点をレポートにして、事前に審査委員に情報提供することができる。
前回、2014年8月に実施された審査では、ヘイトスピーチ、人種差別撤廃法の不在、公務就任権などの差別問題が指摘されたが、今回は特に「ヘイトスピーチ対策法(解消法)」成立後の日本の人権状況がどのように審査されるかに注目が集まっていた。
審査の中でヘイトスピーチ問題の専門家である委員から、「なぜ日本にはヘイトクライム法が存在しないのか、制裁が定められていない対策法では充分とは言えない」との鋭い指弾がなされた。
また別の委員からは、「なぜ外国人の地方参政権を認めないのか、外国籍教員が教頭や校長になれないのはなぜなのか」などの質問もあった。
これに対し日本政府は、制裁措置をとるほどには現在の日本で人種差別扇動が行われているとは考えていない。外国人には「当然の法理」に基づく制約があるといった、従来の答弁を繰り返し説明するにとどまった。同委員会は今回の審査を踏まえた最終所見を30日に公表する予定。
(2018.08.29 民団新聞)